日本代表選手のポジショニング能力ではスペイン代表のティキタカやポゼッションサッカーの真似は難しいと分析したが、日本代表が進化を止めるわけにはいかない。
カタールW杯で勝つために、日本代表は徹底的なカウンターサッカーを選択した。
チームには世界的に注目される選手がいたため、森保監督には確かな勝算があったのかもしれない。
日本代表の戦術は組織と個人の融合!?「超攻撃型の守備戦術」を目指せ!?
日本代表には現在、三笘や伊東と言ったサイドアタッカーや、スピードスターの浅野など世界レベルの選手がいる。
そのため戦術の中心は組織で守り、攻守一体であらゆる高さからスピードスターを活かすカウンターと、組織的な攻撃の融合が最適と思われる。
最終目標は「どこからでもカウンターを狙うチーム」
サイドアタッカーやスピードスターを活かすために日本代表も『改良型カテナチオ』を目指すのだが、これはブラジルのチッチ監督の戦術であり、幸か不幸か日本代表は再びブラジルの戦術を真似することになる。
ブラジル代表はドイツ代表に7対1で負けて以来、チッチ監督が組織と個人を融合する戦術を採用したのだ。
日本にはラインコントロールの文化が無く、システム変更もポジションチェンジに依存しているため、中盤で数的有利を作れずゾーンプレスが上手くいかない。
ラインコントロールもCBとSBのポジショニングで行い、システム変更もポジションチェンジであるため本当の実現にはまだまだ時間が掛かりそうだ。
しばらく日本代表はカウンターサッカーが主要な戦術になる!?
現代のサッカーは各国が改良型カテナチオを取り入れたことで各チームの攻撃の特徴が相対的に薄まった。
このため多くのチームがカウンターサッカーを主要な戦術とし、そこに各国の基本戦術を組み合わせていた。
日本代表もカウンターサッカーを主要な戦術とし、段階的に戦術を加えることになるだろう。
アイソレーションのためのティキタカと擬似カウンター
カウンターサッカー以外にも中盤でボールを保持しながら攻撃を進める際に、目標としていたスペインの戦術「ティキタカ」を取り入れることができる。
この際もラインコントロールやポジショニングが重要で、相手のディフェンスラインをコントロールする必要がある。
下図のように、相手を押し込みすぎず、下がりすぎずと言ったところだ。
押し込みすぎない状態からCF(センターフォワード)は常にラインの裏を狙い、WBやSH、SBなどのサイドアタッカーをアイソレーション(逆サイドでサイドアタッカーを孤立させた状態)から仕掛けさせる。(下図)
これはカウンターを擬似的に作り上げた戦術「疑似カウンター」とも言え、日本代表は終始カウンターを狙い続けることになる。
日本人の特徴は団体行動と器用さにあり!?
お箸(はし)でご飯を食べる日本人は元来器用と言われ、細かい作業が得意とされる。
また団体行動も他国と比べると文化的な面からか秩序立っている。
これら特性が日本代表の戦術において活かされる可能性があります。
デザインされたセットプレイが日本最大の武器に!?
セットプレイなど「デザインされた攻撃」はカウンター戦術と並ぶ日本の最大の武器になる。
今後はアメフトなみのパターンが作られるかもしれない。
交代枠とターンオーバーを組み合わせるた「交代戦術」
最近のサッカーでは交代枠が5人+1(脳震盪枠;のうしんとうわく)と増えた。
そこで前半は相手の体力を消耗させたり、予め前半で交代する人を決めておいてプレッシャーを掛け続けさせるなど交代戦術が重要視されている。
森保監督はカタールW杯で見事に使いこなし、相手を翻弄(ほんろう)させたと言える。
またターンオーバーとは大会で試合が3~4日ごとにある場合、スタメンを多く(一般的に5人以上?)代える戦術のこと。
日本代表は、交代戦術とターンオーバーを組み合わせることで相手によって戦術とスタメンを代えることができるようになっているのだ。
サイドアタッカーやCFが仕掛けるタイミングを作れるまでティキタカを繰り返すので、強引なセンタリングやスルーパスなどの攻撃は必要なくなる。
各国はすでにスペインほどではないにしてもティキタカを可能な限り取り入れているのだ。
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日本代表の基本的なシステムは3-4-3か4-2-3-1(4-1-4-1)
日本代表はポジショニングのレベルが低いため、システム変更(可変システム)が苦手な傾向がある。
そのため3-4-3または4-2-3-1のようなシステム(フォーメーション)を採用し、WBやSBの単純な上下移動により中盤の数的有利を作り、ポジションチェンジを最小限に抑えることになる。
3-4-3で3CBと2WBがオススメ
3-4-3のシステムはチームに有能なCBが多く、SBやWBなどサイドアタッカーが多く存在する場合に適したシステム。
図.343のWBが上下することで行うシステム変更
- 守備時は4~5バックで手堅く守り、片方のWBが下がれば4-2-3-1へシステム変更も可能。
現代のカテナチオへの移行も簡単で、森保監督がJリーグの監督時代に得意だったシステム。 - 攻撃時はWBの上下やシステム変更で数的有利を作り、アイソレーションによりあらゆるシーンからカウンターと疑似カウンターを狙う。
攻撃に人数を掛けやすいため、ドリブルで仕掛ける選手が多い森保ジャパンには最適と思われる。
4-2-3-1(4-1-4-1)
・CBが3人用意できない場合は、433か4231、4141と偽SBが基本になる。
・偽SBを取り入れてサイドアタッカーの補助。
図.4231のSBが上がりアンカーが残るシステム変更
【参考】数的有利を作るためのシステム変更(可変システム)とは
ブラジル代表の指揮官、チッチ監督の独自な戦術
ブラジル代表はその戦術の幅広さと革新性で知られ、チッチ監督の指導のもとで様々な要素を組み合わせていた。
ラインコントロール、ティキタカ、システム変更、偽SB、複雑なポジショニングなど、可能な限りの戦術がブラジル代表の戦術戦略に組み込まれた。
彼らの戦術の多様性と選手層の深さは、大会を制するための要件を満たしていると考えていたため、筆者はカタールW杯での優勝候補をブラジル代表と見ていた。
ネイマールとブラジル代表の戦術
ブラジル代表はすでに日本代表が目指す戦術を完成させており、ネイマールや他の世界トップクラスの選手たちを擁することで、その戦術をさらに高みに引き上げている。
時間帯に応じてネイマール、カゼミロ、マルキーニョス、ヴィニシウスなどのスター選手が攻撃をリードし、試合の流れを変えるのだ。
ブラジル代表では特にネイマールが中心になる時間帯を「戦術ネイマール」と言っていた。
カタールW杯でのブラジル代表対クロアチア代表
前回のロシアW杯で準優勝したクロアチア代表はシステム変更を得意とし、特に「改良型カテナチオ破り」として知られている。
彼らはまさにブラジル代表の天敵であり、クロアチア代表は日本代表戦で戦術を確認し、ブラジル代表戦でその力を発揮した。
ブラジル代表はクロアチア代表を攻め続けたが、ゴールを決められず、結局PK戦で敗れた。
この試合でクロアチア代表のシステム変更の戦術がブラジル代表に成功したと言えた。
クロアチア代表のシステム変更戦術
システム変更を組み合わせた戦術は、現在の世界で最も先進的な戦術として見なされている。
日本代表がこの戦術を習得するためには、各選手が異なるフォーメーションでの正確なポジショニングを理解し、複数のポジションをこなす能力が必要となる。
ポジショニングが苦手な日本代表にとって、この戦術を完全に習得するには時間と努力が必要となるだろう。