サッカー日本代表は1月31日、FIFAランキング86位のバーレーン戦に向けて数日の間にアジアカップ前の戦術へと修正し、予選で見せた日本人らしいサッカーを展開してもらいたい。
バーレーン戦のスタメン予想
今回はSBが不安定すぎるので知っている名前を書かせてもらった。現状どこまで修正できるのかかも分からない状態で、いくら押し込んでもグループステージのポジショニングを見る限り戦術の『偽SB』を行えるレベルではない。
この試合は、不安定なSBと遠藤のポジショニングがカギとなるだろう。
【参考】バーレーンのチーム事情を見る
押し込める予想の場合
負けたらそこで終わりのノックアウトステージの初戦では、まず確実に勝って日本人らしいサッカーを確認する必要があるため、かつ現状でミスが少なく最も安定しそうなメンバーを選ぶしかない。
4-2-3-1の場合
上田
中村 南野 伊東
守田 谷口
中山 冨安 板倉 毎熊
最も安定して攻撃的なメンバーを揃えてみた。
現状では守備でのポジショニングに違和感が消えない遠藤に代わって谷口。
上記を3-4-3にシステム変更
上田
中村 伊東
守田 南野
中山 毎熊
谷口 冨安 板倉
他のDMを専門にする選手を知らないので谷口を入れているのだが、谷口であれば上記のようにシステム変更も行える。
CMFの南野をDM、DMの谷口をCB、毎熊と中山をSBからWBへと変更するが、南野は動いてCMFもこなすことを期待したい。
南野は久保に変えることも出来るが、押し込める場合はCFWよりの動きに近い南野が適任だろうか。疲労と合わせて考えたいところだ。
この場合大げさにシステム変更と考えるよりも、谷口と南野を一列上げるだけ、と考えた方が単純かもしれない。
4-3-3の場合
上田
中村 伊東
守田 久保
遠藤
中山 冨安 板倉 毎熊
ディフェンシブサード(フィールドを高さで三分割した内の自陣GK側)からミドルサード(三分割の中央)でのビルドアップに課題が残る現在の日本代表で、ドリブルでのボール運びが出来るのは現状久保のみ。
遠藤が下がりすぎてDFと重なるが、伊東が寄り、上田がポストプレイ、中村がアイソレーションで待ち構えて打開するしかない。
上記4-3-3の予備システムの4-2-3-1
上田
中村 久保 伊東
守田 遠藤
中山 冨安 板倉 毎熊
4-3-3のANCになることで遠藤がさらに下がりすぎる場合は、4-2-3-1で強制的に前に出す方法もあり、今までの日本代表のシステムとなる。
遠藤は守備面で最高に上手い選手と言われるため、押し込んだ状態で前に人数を掛けられるのであれば残ってCBと共に守備とボール回しに専念してもらう想定。
中央で互角になる予想の場合
4-3-3のゼロトップ(戦術南野)
南野
中村 伊東
守田 久保
谷口
中山 冨安 板倉 毎熊
攻守にわたって南野を中心に攻撃戦術を立てることになる。
【参考】戦術南野とは
上記は3-6-1にも変更可能
中村
伊東 南野 久保
中山 守田 毎熊
冨安 谷口 板倉
互角になると予想したが意外に押し込めて高い位置で安定した場合は、谷口がそのままCBに収まり、両SBがWBになることでバランスをとる。
攻撃は赤字の4人が中心となり、青字はボール回しや疑似カウンターを狙う。
南野が上がれば3-5-2になることも出来る。
現状の日本代表では、相手ディフェンスラインに入ると誰も戻ってこれないレベルなのでWBの二人が上がりすぎないように注意が必要となる。
さらに押し込めてしまった場合は、谷口が守田の横に並び、冨安と板倉のCB二人がセンターサークル付近で待ち構えることになる。
上記4-3-3の予備システムの4-2-3-1
中村
伊東 南野 久保
守田 谷口
中山 冨安 板倉 毎熊
押し込めない予想の場合
本来格下とも言えるバーレーン相手に押し込めない状況はまずいのだが、押し込むために前田を中心にハイプレスを掛けることになる。
日本代表がW杯のベスト8の壁を破るため、格上相手に戦術を全て出し切るシステム。
CFW前田の課題
CFWの前田は裏へ走るプレイ、南野の列に一瞬だけ下がってポストプレイ、南野と入れ替わる技術、マークを外す技術が課題となる。
★4-2-3-1のハイプレス戦術★
前田
中村 南野 伊東
守田 遠藤
中山 冨安 板倉 毎熊
上田綺世がハイプレスも出来るのであれば、引くであろうバーレーン相手に高さもある上田を入れる手段もある。
中央の南野はフィジカルで潰されなければ、久保や堂安でも良い。
体力と相談して決めるだろう。
このシステムの不安要素は、不安定なSBと下がりすぎる遠藤のポジショニング。
遠藤を谷口を代えればもっと安定するかもしれない。
試合までにどこまで修正できるだろうか。
4-4-2のハイプレス戦術
前田 南野
中村 堂安
守田 遠藤
中山 冨安 板倉 毎熊
伊東が不安定な場合は、堂安に代える。
なぜか南野と堂安のポジショニングが重なるイメージがあるので、堂安が入る場合の南野は、4-4-2のFWになるつもりでも良いが、ボールの位置によって中村、南野、堂安の三人がCMFに入ることで相手を崩しやすくなるだろう。
またこのシステムであれば守備への切り替えも分かりやすい。
カウンターを狙う際は前田が裏へ走り、南野はポストプレイなどのイメージで充分だろう。(実際は二人共、ランとポストのプレイが必要。)
戦術を確認するバーレーン戦
ここまで森保監督の日本代表が積み上げてきた戦術は、世界で流行していたものだ。
そのレベルはまるでヨーロッパのチームと言われるまでだったが、アジアカップが始まった途端に積み上げてきた全ての戦術を突如として捨ててしまった。
その結果、オシム監督が言っていた「世界で体力はあっても体格で劣る日本人」は、歴代の監督が言う「組織的な戦術がなければアジアでも勝てない」ことを露呈した形となった。
次のバーレーン戦では、日本代表が本来目指すべき戦術を全て出し切り、再確認するべきだろう。
ビリーの選ぶスタメンとシステム、試合展開の予想
原点に立ち返るためにも、上記赤字の★4-2-3-1のハイプレス戦術★を選択。
試合開始からハイプレスを仕掛け、ボールを奪取した時点で立ち上がりに弱い日本の特徴からボール回しでリズムの形成を目指す。
前半10分ぐらいまではポゼッションを行い、各自マークと相手の特徴、高さに合わせたシステム変更を確認。
疑似カウンターで仕掛け始める
できればFWが相手のPA(ペナルティーエリア)手前まで上がり、裏へのスペースを確保すると同時に、自陣の最終ラインが上がりすぎないようにする。
恐らく引き続けるであろうバーレーンに対し、ポゼッション(ボール回し)のリズムが出来たら、左右に展開して疑似カウンターを試す。
確実な攻撃ができないようであれば、中央もボール回しに参加し、相手ディフェンスラインを左右に開かせる。
開いたところで前田、南野がスルーパスを受ける形を取り、中央のマークが厳しくなったら、両サイドの疑似カウンターを使う。
行けると思ったら行く勇気も必要だが現状の日本代表の調子を見る限り開始10分までは、枠内に打てるシュート以外はリズムを作るためのポゼッションを徹底するべきだろう。
日本のハイプレスにバーレーンはワイドプレイで応戦
ハイプレスかつゾーンプレスを仕掛ける日本代表に対し、トルシエ監督率いるベトナム代表と同様に、バーレーン代表はワイドプレイ(フィールドいっぱいに展開するスタイル)を仕掛けてくるだろう。
そこで日本代表の守備では、ラインコントロールがカギとなる。
しかし高すぎるラインコントロールはバーレーンの伝統とも言えるカウンターの餌食となりかねない。
冨安と板倉の二人がどこまで安定をもたらせるだろうか。
相手のラインをコントロール
歴代の日本代表は格下相手だと押し込みすぎて自らのスペースを消し、さらに相手ディフェンスラインに入り続けることでフィールドをラッシュ時の山手線とも言える状態を体現してきた。
まず相手ディフェンスラインをPA(ペナルティーエリア)まで押し込むのは悪手であり、パワープレイ(PAにボールを蹴り込んでごちゃごちゃした挙げ句に点が入ることを望む戦術)ならば分かるが、ポゼッションでボールが下がったらFWやWG以外は下がらなければならない。
引くであろうバーレーンに対し、日本はFWやWGも下がり、相手のディフェンスラインをコントロールするのだ。
相手のディフェンスラインが上がったところでボールを逆サイドに振り、疑似カウンターで相手の裏を取り、ドリブラーたちが思う存分攻めるべきだろう。
後半から交代戦術を開始
スタメンのCFは前半で出し切るつもりで出て、相手DFを疲労させておくこと。
相手とCFの消耗具合を見つつ、後半頭から交代を検討。
前半スピードタイプであったなら高さ、高さであったならスピードタイプを出しても面白い。
CFとして起用に迷う選手は、前田、上田、南野だろうか。
浅野は同点もしくは劣勢状態の後半20分すぎからの交代枠で検討したい。
もし後半15分で3点差がついていたら
本来の実力差であれば3点差はついていなければおかしいのだが、3点差がついていたら次戦に向けて体力の温存と、システム変更とポジショニングの修正に使うべきだろう。
現状攻撃を焦るあまり前のめりになりすぎてビルドアップ以前にポゼッションすらできなくなっている。
確認したい守備戦術
現代のカテナチオ、後ろ二列で行う(MFも距離感を保つ)ラインコントロール、ゾーンプレス(コンパクトになって数的有利を作りボールへ寄る)、ボール奪取からの素早いカウンター、駄目なら相手のDFが整う前に行う素早いビルドアップ、駄目ならポゼッション。
確認したい攻撃戦術
SBの展開、遠藤のポジショニング、高さに合わせたシステム変更、SH(WG)のビルドアップへの参加、CFが少し下がってのポストプレイと相手のラインコントロール、ボールとは逆サイドのアイソレーション、駄目ならポゼッション(目標は7割超え)、もし相手がゾーンプレスを仕掛けてきたら、逆にワイドプレイ。
体力の温存までが理想の戦術
重複するが、アジアカップ2023は未習得のシステムや戦術を練習する舞台にするべきだった。しかし今までの戦術を逆行してしまったのだ。
その上で日本代表は優勝を目標にしている。
バーレーン戦では後半15~20分までに3点差をつけ、ポゼッションによりリズムを作り、手遅れになる前に戦術を取り戻し、交代戦術と合わせて体力を温存する。
体力の温存は連戦を行う日本代表にとって最も重要な戦術となるだろう。
バーレーン戦は日本代表のリズムを取り戻す全ての鍵となる一戦となる。