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サッカー日本代表がW杯ベスト8の壁を打ち破る為の戦術(タクティクス)をビギナー(初心者)でも分かるように分析します!土曜日の19時更新目標!

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⑤【カタールW杯 戦術分析】W杯の蓋を開けると日本代表は三世代前の戦術だった

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 結果を見れば日本代表は第一戦で大番狂わせを演じて見せたのだが、大会4日目までの数試合を見た後「我が日本の戦術は三世代前じゃないか…」と衝撃的だった。

2005年のルール変更以来、ディフェンスラインのコントロールはずっと気になっていただけあり、今大会では特に気になるのだった。

ドイツ戦の詳細分析

ドイツ戦の日本の戦術を分析する

 オフサイドのルール変更の度にラインコントロールの戦術は特に大きく変わるが、世界で2回もルール変更があったのに日本の戦術は2005年にラインコントロールが無くなったままだった。

①ラインコントロールが恐ろしく低い

 後半からディフェンスラインのコントロール役を急遽吉田から板倉へと代えたのだが、各ラインの幅は安定せず、全体も連動できなかった。

解説の本田圭佑氏、槙野智章氏はラインコントロールについてあまり触れていなかったのだが、前線のプレスと最終ラインの低さに違和感をつぶやいていた。

槙野氏がDFの頃もかなり低い記憶があるのだが…

 ラインコントロールは全体を上下左右に動かすため全ての戦術の根底にあると言える。そのため②以降の全てに影響をする。

②システム変更による各ポジションの動きに違いがない

 例えば4231と343で「各ポジションの動きがどの様に変わるか」をイメージできるだろうか?
今まで日本代表はシステム変更を繰り返しても、システム変更によるポジションの微妙な動きの差を作り出せていないため、戦術的な効果が思うほど出ない。

③全体の距離感がバラバラ

 現代サッカーではラインコントロールに合わせて全体が上下左右に連動する。
しかし日本代表のディフェンスラインが低すぎるため全体が間延びした。

 写真は前線のFW二人がドイツの最終ラインにプレスを掛けるのだが、日本のディフェンスラインは低いために全体が間延びしている。
画像のように前線でプレスをする場合、青いラインがディフェンスラインでなければならない。

 間延びするとディフェンス(守備)では意図するゾーンプレスが機能しない。
オフェンス(攻撃)では特に中盤で数的不利になる。

日本代表の戦術は攻守ともあらゆる局面で数的不利のまま機能せず、個人それぞれが単独で奮闘する結果となった。

④数的優位を作るための流動的ポジションチェンジ

 現代サッカーの戦術の基本は「いかにして数的優位(有利)を形成するか」にある。
ディフェンスではラインを上げることで相手FWを無力化し、中盤での数的優位を形成する。

カウンター時以外で最後のFWは数的優位を作ることは出来ないためサッカーでは得点機会が減るというわけだ。

相手よりもボールに関わる人数を増やしてボールを保持しようとすると自然とポジションチェンジが必要になるのだが、日本代表は入れ代わった後のポジションの動きができていない。

そのためボールを奪取してもその後の展開がちぐはぐになることが多かった。

数的優位(有利)を作るための戦術の一つ。

⑤流動性を意識したシステム変更とポジションチェンジ

 ④のラインコントロールの後でボールがハーフラインよりも高い状況だった場合、4231から352や343などに変形して中盤の数的優位を形成する。

このように世界の戦術ではボールの高さによりシステムを変更するのだが、ドイツ戦で日本はシステムを変更する意識が無かった。

このシステム変更によりポジションの動きも変わるのだが、複数のポジションをこなすポリバレントの能力も足りないために正確性を欠いた結果となった。

現日本代表の最適なシステムは4231?343か352?

 2002年日韓W杯までは3CBとWBの343や352をよく目にしたが、それ以来、日本代表は押し込んでいる時間でもシステム変更を行い3バックになることが滅多になかった。

 特に日韓W杯後の「中田英寿、中村俊輔、小野伸二、稲本潤一」の黄金世代や、その後のプラチナ世代では中盤の宝庫と言われ、3CBにすると中盤のMFを減らすことになるため日本では3CBは否定的な意見が多かったのだ。

ラインコントロールの文化が消えた日本代表は、間延びすることになるため3バックのシステムが極端に苦手だったのだ。

世界の戦術は進化し続けていた

 オフサイドのルール変更により守備のシステムが見直されると、世界では静かにCBの重要性が見直され始めた。

世界各国どのリーグでも基本は4231だったのだがある時どこかでラインコントロールが復活すると3CBとWBのシステムも見直されたようだった。

日本代表はドイツ戦後半から突如進化を始める

 日本代表はドイツ戦前半に戦術やシステム、特にラインコントロールが時代遅れだと気づき、ハーフタイムから切り替えて後半から進化を始める。

 ビリーは慣れている4231からの可変システムを考えていたが、森保監督はJリーグ時代に経験した343のシステムを採用した。

図① 4231から343へのシステム変更

図② 343で両サイドのWBが上下するシステム変更

343は現日本代表に最適なシステム!?

 現在の日本代表はSBの層が薄くCBの層は厚いのだが、3CBとWBのシステムは最悪SBとSHを併用できる。
3CBと両サイドのWBが単純に上下することでDFの人数も中盤の人数も変えることができるようになり、ディフェンスラインも安定する。
さらに日本代表の目指す戦術にとって一番効果的なシステムと判断したのかもしれない。
※SHがWBになる場合、ラインコントロールができる必要がある。