前セネガル戦ではセットプレイ以外にめぼしい戦術はあまり無く、いつの時代のサッカーなのかと目を疑った。
イニエスタ選手の真似をしているのかディフェンシブミッドフィールダー(DMF)二人がボールへ極端に寄り、ボールホルダー(ボールの保持者)のプレイスペースを消し去った。
近づくどころかポジションごと重なり、自ら数的不利を作り出していた。
果たしてコロンビア戦で修正できるだろうか。
試合開始前に映し出された現地の応援団。
外国人がもつ日本人へのイメージに寄せているとしか思えない格好である。
これもサービス精神の一つだろうか。
両チームスタメン発表
スタメンが発表されたのだが、前コロンビア戦で4231ではなく実質442だと印象が変わった。
コロンビア戦でも福井と山根がボールホルダーへ近寄りすぎるため、このシステムに対するコーチ陣の戦術が全くつかめない。
熊田 松木
北野 佐野
福井 山根
高橋 田中 チェイス 高井
木村
【前半】戦術はセットプレイのみ!?低いラインコントロールでは数的優位を作れない
U-20日本代表でもラインコントロールは低く、2005年のオフサイドルールの変更以来、未だ日本にはラインコントロールの文化が戻らない。
海外でプレイしている選手はラインコントロールを知っているはずなので、監督やコーチが取り入れられないのだろう。
またこの試合中でもDMFが押し上げないことでディフェンスラインも上げることができないと予想する。
DMFが数的不利を作り、ラインコントロールが低いことでさらに数的不利を作る。これでは現代サッカーの戦術は何一つ使えないだろう。
ミドルサードでのエリア戦術
正直何がしたいのか分からないのだが、恐らくミドルサードでのエリア戦術をしているつもりだろう。
【参考】サイドに追い込むエリア戦術とは
写真は前半6分4秒、コロンビアがDF間でボールを回す状態。
蛍光ペンの斜線はミドルサードの位置。
ミドルサードで守備をする場合、青の三角形が正しいポジショニングとなる。
【参考】フィールドの高さと名称
「ミドルサードで待ち構えているためにFWと右SHがプレスに行かないのだ」と思いたいが、日本のディフェンスラインではラインコントロールが無いためコロンビアのFWを無力化できず数的優位も作ることはできない。
そのためミドルサードで待ち構えることに何の意図があるのか分からない。
右サイドバックの守備が弱点!?果たして…
あたかも本職がセンターバック(CB)の高井がSBの動きができていないかのような記事を散見したが、右SBの高井が弱点なのではない。
写真中盤の右SHがマークを外すので右SBの高井だけでは抑えきれないのだ。
上の写真中央一番下の日本代表選手がこれだけマークからかけ離れた状態に居ては、SBの高井がコロンビアのSBとSHの二人をマークすることになる。
右サイドが弱点と言う表現であれば正しいことになるが、普段CBが本職の高井には酷な評価となってしまった。
ボールに近寄りすぎるDMFがプレイスペースを消し展開も無くなる
前セネガル戦同様にDMFの二人がボールへ寄りすぎるためボールホルダーのプレイスペースを消し素早い展開などの速攻が無くなる。
続いてぶつかるほど近づくためにポジションが重なるどころか二人共動けなくなる。
本来展開役であるDMFが機能しないため、ボールは奪われるかディフェンスラインに下げるしかできない。
写真はゾーンプレスを掛けている状態。
ボールはFIFA.comの看板の前で競り合っているコロンビア選手が保持。
ゾーンプレスを掛けるものの、中途半端な距離感を保つために南米レベルになると簡単にパスを出されて繋がれてしまう。
ゴールキーパーからも大きく蹴り上げるだけ
U-20日本代表ではGKからグラウンダー(浮いてないボール)のパスをつなぐシステムの採用は無いようだ。
【参考】GKからつなぐシステム変更
中盤でパスを繋げられない結果
中盤で繋げられないために攻撃でも無理なパスが多く、無理に相手ディフェンスラインの裏へ蹴り込むだけのプレイが目立つ。
DMFの二人が機能しなくなることで突然数的不利になり、ディフェンス側であるはずのコロンビアが有利にさえ見えた。
これらは前戦と全く同じで改善されていなかった。
攻撃では前戦のDMFのポジショニングが修正されておらず、中盤が機能しなくなる原因となっていた。
30分 山根陸(日本)
【後半】攻め手を失い攻めあぐねるU-20日本代表
選手は5人まで交代できるようだが、A代表の様な交代戦術は無し。
果たして中2日しかないのに体力管理ができるのだろうか?
【選手交代】
・髙橋 センダゴルタ 仁胡 → 松田隼風
熊田
北野 松木 佐野
福井 山根
松田 田中 チェイス 高井
木村
中盤での横パスが禁止されている?効果的な横パスとは
A代表ではキリンチャレンジカップの試合後に堂安律、鎌田大地両選手が「横パスばかりでまるでJリーグの試合だった」と発言して話題になったが、まるでこの試合は中盤でも横パスが禁止されているかのようだった。
【参考】2023年3月「A代表のキリンチャレンジカップ」
※リンク先に横パスに関する情報は無し。
速攻を出すならば横パスは無い方が良いかに思えるが、角度を変えることでマークを外せたり、斜めや縦のラストパスが効果的になることもある。
結果として日本の攻撃はサイド攻撃ばかりになり、コロンビアはサイドで追い込むエリア戦術が成り立ったのだ。
後半途中からベンチも動き出すが…
後半開始から目立った交代戦術も無し。
中二日の強行日程にも関わらず先発メンバーを大きく変えることもなく、試合中も交代戦術を使うこともなく、頼みの綱はセットプレーのみ。
【参考】交代戦術とターンオーバー
【得点】
52分 ヤセル・アスプリージャ(コロンビア)
58分 トマス・アンヘル(コロンビア)
【選手交代】
65分
・熊田 → 坂本
・北野 → 永長
坂本 松木
佐野 永長
福井 山根
松田 田中 チェイス 高井
木村
69分
・コルテス → カスティージャ
76分
・福井 → 松村
坂本 松木
松村 永長
佐野 山根
松田 田中 チェイス 高井
木村
後半80分、コロンビア選手のハンドをVARの確認からPKとなるが、松木が失敗する。
【選手交代】
83分
・山根 → 福田
坂本 福田
松村 松木 永長
佐野
松田 田中 チェイス 高井
木村
87分
・オカンポ → ベレツ
・プエルタ → タントン
判定にも大きな偏りがある
欧州では特に白人至上主義とはよく言われるが、アジア人差別も甚だしい。
かなりの危険なファールであり、罰退させられる理由は何一つないはず。
なぜかフリーキックの位置を10mほど後ろから蹴らされることになる。
選手たちの人生が掛かっていたプレイでもあったので、あまりにもヒドイ判定だったと言わざるを得ない。
日本サッカー協会としても最低限の抗議はするべきだろう。
パッと見の印象
「U-20日本代表ってこんなにもヒドかったっけ?」というのが率直な感想。
今まで見たU-20日本代表では、「U-20日本代表がこんなにも良いサッカーをするのにどうしてA代表はあんなにもヒドイサッカーになるのだろうか」と思えるぐらいだったのに、セットプレイ以外に戦術でも良いところが無く選手個人が目立つことも感じない。
全てを台無しにしているのだDMFのポジショニングに思えるのだが、思い過ごしだろうか?