「セネガルやコロンビア、実力不明のイスラエルがいる死のグループだ」と評価する人さえいたが、そうではなかった。
現代サッカーの戦術は、数的優位を作るためにシステム変更を行いながら各所を細かいポジショニングとフィジカル(身体能力)で差をつけ、個人技で打破しシュートへ向かう。
しかし戦術が皆無な上、選手のシステムとポジションの役割の理解度の無さ、ポジショニングの悪さが極めて目立った。
【2023年 FIFA U-20 ワールドカップ】総評
フィジカルとボールタッチの技術は上がっているものの、特にDMFの二人はイニエスタ選手を真似しているかのようにあたかもぶつかるまで味方に近づき、プレイスペースを消し、数的不利を自ら作り続けた。
どれだけフィジカル(運動能力)や個人技を上げようとも、サッカー後進国の日本が戦術面で時代に逆行しては、決して世界に追いつくことは無いだろう。
その選手しかできない技やその選手の特徴を真似て完璧以上が出せないならばやる意味はない。
言ってしまえばイニエスタ選手の周りは世界のスーパースターたちが居たから正しかったとも言える。
システムとポジションすら無意味に見えた
DMFの二人のポジショニングの悪さからシステム全体が歪み、誰だどの様にプレイ(機能)するべきかすら忘れているかのような流れだった。
OMFで攻撃の中心になるべきだった松木もほぼ中央でボールにさわれないのは、DMFの二人がチームの中心になる位置で邪魔をしていたからと言えるポジショニングのレベル。
日本にはラインコントロールの文化が消えたのだが、ポジショニングの文化もまだ入ってこないようだ。
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デザインされたセットプレイが戦術の進化の起点になる
ただ唯一の進化は、デザインされたセットプレイの良さだろう。
フリーキックの名手が日本代表に存在した頃は、直接ゴールを狙うだけではなく少なからずデザインプレイも存在した。
「サッカー日本代表はセットプレイだけだ!」と世界から批判されるとデザインされたセットプレイを止めてしまったが、再び進化を始める起点になるだろう。
体調不良により更新が遅れてしまったのだが、他のサッカー評論家たちは「セットプレイだけで勝つのは愚行だ」なる旨の意見があった。
日本代表は過去にもセットプレイだけで得点を重ねる時代があり、プレイスタイルを酷評されて止めてしまった歴史がある。
得点ができるのであれば継続し、サッカーの本筋である部分も伸ばすことを考えてほしい。
セットプレイのデザインは過去最高!?全ての世代に浸透を!
セットプレイのデザインはバスケが流行だと内田篤人氏が言っていた。
このチームに内田篤人氏がいるのでデザインも担当していると思っていたのだが、どうやら実際にセットプレイのアイディアをひねり出していたのは船越優蔵コーチだそうだ。
A代表にフリーキックの名手たちが居た時代は幾つかデザインされたフリーキックを見たことがあるが、これを日本のお家芸にはできないだろうか!?
今後はJリーグでも広く広めてほしい。
各サッカー記者たちの感想
体調不良により更新が遅れたついでにプロの記者たちの感想を読んだのだが、「日本はセットプレイで上手くいこうが手を出すべきではない」、『セットプレイが例え上手くいってても止めて王道の戦術を追え』なる旨の記事を散見。
この評価の通りやるならば、今後恐らく日本サッカー界のレベルが上がることはないだろう。
すでに日本サッカー界は世界のサッカー界(欧州や南米)から隔離されたガラパゴス化の状態であり、戦術は三世代以上前の状態を世界の最先端と思い込んでいた。
その状態から日本サッカー界が王道を進み、いつ世界に追いつけると思っているのだろうか。
勝負は常に勝ちながら進化せねばならないので「サッカー後進国の日本は上手くいっていることを継続し、王道も追うべきだ」という発想がなぜ出ないのか。
サッカーの記者であるならば、ポジショニングの改善点や戦術の欠点を指摘するべきだろう。