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サッカー日本代表がW杯ベスト8の壁を打ち破る為の戦術(タクティクス)をビギナー(初心者)でも分かるように分析します!

【2023年 FIFA U-20 ワールドカップ】5/28 日本代表vsイスラエル代表 同じ過ちを繰り返す

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【2023年 FIFA U-20 ワールドカップ】日本代表対イスラエル代表

 第2戦まで戦術的な要素はセットプレイのみで、カタールW杯のA代表を三世代前の戦術とするならば四世代前とでも言うべきだろうか。

イスラエル戦ではこれがU-20日本代表だと言える戦術を見せてほしいが、どうなるだろうか…

両チームのスタメンと予想システムの発表

 中二日であるにも関わらず選手を大きく入れ替えないため、体力管理を怠っているようにしか見えない。

カタールW杯のA代表ではすでに交代戦術を用い、常にフレッシュになれるような状況を保っていた。

試合中でも体力管理どころか交代することで相手の脅威になるよう先手を常に打っていたのだ。
【参考】交代戦術とターンオーバー

U20日本代表予想システム

坂本
松木 阿部 松村
山根 佐野
高橋 田中 チェイス 高井
木村

U20イスラエル代表予想システム

 

【前半】イスラエルのパス回しが際立つ

 開催国が急遽アルゼンチンとなった今大会だが、その元凶とも言えるチームがイスラエルである。

国家として良い噂を全く聞かないが、よく「サッカーに宗教を持ち込むな」と言われるが、宗教国家として侵略と略奪を繰り返し、悪魔の六芒星を国旗に掲げる国を世界大会に参加させて良いのだろうか?などと思いながら試合を見る。

イスラエルのパス回しは非常に滑らかであり、DMFのポジショニングも悪くはない。
個人的には若干近すぎる気もするが、日本ほどではない。 

U-20日本代表のGKからのビルドアップ

白丸がボール。
赤矢印がパス。
青矢印が走るべき方向。

日本代表のフィールドプレイヤーが6人+GK。
イスラエル代表のフィールドプレイヤーが4人の状況

画面中央少し上のDMFが逆サイドのCB(チェイスアンリ)を指さしていることから、ボールを蹴った瞬間に赤矢印の先にいる青三角形へ走りボールをもらおうとたのかもしれない。

もしくは上の黄色三角形の右側のイスラエル選手を引き寄せて、もう一人のDMFがボールを受けに戻ることで数的有利を活かそうと思ったのかもしれない。

この場合DMFは相手の黄色三角形の中心にポジショニングすることが望ましい。
GKを含めずとも数的有利なので、写真の状態から黄色丸のDMFがチェイスアンリにボールが入ると同時に青三角形にポジショニングし、赤矢印のように画面下のSBへ展開することが望ましい。

 日本代表は完全に数的有利なのだが、ポジショニングの悪さから有利な展開をすることができない。

最近流行のGKからのビルドアップは、CBがPAの外まで開きGKと巨大な三角形を作り、
両SBがCBの前に位置、続いてDMFがCBとSBの間などでボールを展開する。

画面中央にいる日本のDMFが青三角形にポジショニングをすると、イスラエルのOMFも白矢印のように左右へ動く。

そこで日本のもう一人のDMFが逆に動いてフリーになるためポジショニングをとる。

こうして数的有利を作りながらボールを前に運ぶビルドアップを行うべきだ。
【参考】GKからのビルドアップ

 現在日本にはこういったビルドアップのためのシステム変更が足りないため、世界から戦術で大きく遅れを取っている。

全てのプレイでDMFのポジショニングが悪影響を及ぼした?

 U-20日本代表はここまで2試合を終了し、戦術的変化は何も起きなかった。
試合開始から少しでも時間がたつとDMFのポジショニングが暴走し、あたかもイニエスタ選手の真似のように味方のプレイエリアを潰す。

動画でなければ分かりにくいが、写真で説明してみよう。

写真1 重なる日本代表選手

 左CBがボールを持ちながら上がるのだが、二人のDMFが紫丸の左SBの元へ近づこうとするので、白い蛍光ペンの裏へ走らざるを得ない。

ところがその先には黄色丸の選手がおり、ポジションが重なることになる。

本来は青三角形の位置つまりイスラエル選手の間にポジショニングをすることで数的有利を活かすところなのだが、よく見てほしい。

日本7対イスラエル5のハズがDMF二人、紫と黄色の選手それぞれが重なることで5対5の状況になっているのだ。

写真2 ボールに近寄るだけのDMF二人

 下の写真でも二人はポジションが重なりながらもボールに向かって走るため、楕円のエリアが誰もいない状態となる。
イスラエルとしてはサイドで数的有利を作り、ディフェンスのエリア戦術として追い込めた形となった。

本来DMF二人は黄色ではなく青矢印の方向へ走るべきだった。

写真3 左SBから左SHが上手くボールを受ける

 下の写真ではDMF二人が重なって画面下の青三角形の位置に居ないため、パスコースが一つ少なく、さらに本来いるべき一人が少ないことになる。

さらに強烈な違和感を感じるのは、最前列の三人が近すぎるのである。
一般的には両サイドへ開き中央に一人なのだが、何故か三人とも中央に並んでいる。

写真4 ポジショニングがメチャクチャな状態

 黄色丸のDMFは本来青丸のDMFが行うべきであり、黄色丸の青三角形に居ないために数的優利を作り出せていない。

さらに最前列の三人は両サイドへ開かずさらに中央へ寄ってくる。

写真5 数的優利を作るはずが数的不利に

 ボールを貰ったOMF松木が前を向いてパスを出そうとするが近すぎるために展開が難しい。

もう少し離れていれば二人へのパスに加えて黄色矢印のドリブルやシュートの選択肢も増えたかもしれない。

さらにDMFが重ならずに走っていれば写真中央から右下の青三角形への選択肢も増えた。

写真6 ここでもボールへと近づくDMF

 OMFの松木は右SHへのパスを選択し、自身は中央からイスラエルディフェンスラインの裏へのランを選択。

右SBは右SHをオーバーラップ(追い越し)ながら右SH正面についているマークを外そうとする。

 問題は黄色丸のDMFの動きであり、ここでもDMFがボールへ近づこうとする。
ただでさえも味方同士が密集しすぎている状態なのに、さらにボールへ近づくとイスラエルのマークマンさえも近づいてくることになる。

紫の丸のエリアを使おうとしたのかもしれないが、これは右SHが中央へドリブルで切れ込んでシュートの可能性を相手に見せるためのエリアなのでOMFの松木は空けようとした。

 またここでイスラエルのディフェンスラインはラインコントロールを行い、しっかりと現代のオフサイドトラップを仕掛けていた。

昔のように極端ではなくなったがラインコントロールは機能し、日本の得点機会を減らすのだった。

写真7 DMFに選択肢を消される

 写真6でDMFが紫の丸のエリアへ近づく動きを見せたため、赤矢印のループパスを選択するが、ボールに当たりすぎてパスミスとなった。

イスラエルのディフェンスラインはパスを蹴った瞬間にマンツーマン行いながらラインを下げ、最後までやりきるのだった。

 前半4分過ぎでDMFはこれだけおかしなポジショニングを取り続けていたため、これで勝つのは無理だと言わざるを得ない。

DMFの味方のプレイエリアを潰すポジショニングは、今大会ずっと続くのであった。

【得点】
45+1分 坂本一彩(U-20 日本代表)

前半のスタッツ

 スタッツ(statistics)とは「統計」の略。特にスポーツではチームや個人のプレーの成績をまとめたものをチームスタッツと言う。

【U-20 日本代表 対 イスラエル代表】前半のスタッツ

 DMFがこれだけおかしなポジショニングを繰り返すなか、ほぼ互角のスタッツを残せたのは他の選手が有能だったということだろうか、数値には現れない結果だったと言うべきなのだろうか。

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【後半】数的不利が見て取れる試合展開となる

 後半も主にDMFの二人がボールへ近づきすぎるために数的有利が作れない状況が続く。

U-20日本代表 決勝トーナメント進出条件

【退場】
67分 イスラエルの選手が2枚目のイエローカードで退場となる。
【交代】
73分 坂本一彩 → 福田師王

 人数が一人多くなった日本代表だが、数的有利さを全く感じないどころかようやく対等になったような試合展開となった。

原因はここまで同様、DMFがボールへ寄りすぎるためにポジションが重なるためである。

【得点】
76分 ロイ ナヴィ(U-20 イスラエル代表)

【交代】
90分
佐野 → 熊田
松村 → 北野

90+2分 オメル シニア(U-20 イスラエル代表)

日本代表 ロスタイムの失点

 写真の通り、一瞬ラインコントロールを失ったことでロスタイムに失点をした。

戦術も個人の能力も何も見えない試合展開

 正直欧米チームに所属する選手が何人もいるとは思えない試合展開と内容。

一人少ないはずのイスラエルに対して押し込まれ、ベンチの采配も後手後手と言わざるを得ない。

四世代前と言うべきなのか、30~40年前の戦術というべきなのか、「サッカーは根性と個人技」の再来と言えるような試合展開だった。