ビギナー向け!サッカーの戦術ブログ

サッカー日本代表がW杯ベスト8の壁を打ち破る為の戦術(タクティクス)をビギナー(初心者)でも分かるように分析します!土曜日の19時更新目標!

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アギーレ監督と洗練された戦術 - 日本代表の進化と攻撃的な433の可変システム

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 2014年から中南米に位置するメキシコ人のハビエル・アギーレ氏が監督に就任し、2018年W杯ロシア大会へと向かう。
中南米も南米と同じ様に身体能力を活かした攻撃的なスタイルの印象が強い。

アギーレ監督はその印象通り、日本代表メンバーでできるあらゆる攻撃の選択肢を洗練して使うのだった。

アギーレ監督は代表監督の理想像だった!?

 前日本代表では選手たちの自己主張が強すぎたのか、監督の戦術を歪めた様に見えた。そのためアギーレ監督は前代表監督でレギュラーだった選手も外して幅広い選手を試し、「戦術を無視するような選手は弾く」と意思表示をしたかに見えた。

よく組織はトップダウン方式と言われるが、監督がまとめ役となり「戦術のための選手」を体現したのである。

洗練された攻撃的な433の可変システム

 まずは前日本代表メンバーの「俺たちのサッカー」とは異なり、サッカーの基本通り無駄なパス回しを減らし、縦への動きを意識させた。

前線からボールを奪いショートカウンターとカウンター、手数を掛けない速攻、ラインの裏へ走る選手へのスルーパス…とアギーレ監督の攻撃戦術は明確で洗練されていた。

日本代表が攻撃的な戦術で試合をこなす毎にチームとしてまとまり、今までの日本代表戦が嘘だったかのように得点を重ねていったのだった。

アギーレ監督は433の可変システムが基本

 日本代表に大きな『可変システム』が持ち込まれたのはこの時が始めてだと思う。

攻撃時には中盤の底でアンカーと呼ばれるDMがCBに入り、両SBが一列以上上がることでシステム変更を行うのだ。

アギーレ監督の戦術とはまた違うが、ビリーの戦術で「可変システムによるシステム変更の図」の説明を覧いただきたい。

アギーレ監督のシステム

 アギーレ監督が記者会見で発表したシステムは可変式である。

岡崎
武藤    本田
香川 柴崎
細貝
 長友 森重 塩谷 酒井高
西川

例えばこの状況から攻撃になるときは、以下のように343のシステムになる。

岡崎
武藤    本田
香川 柴崎
 長友      酒井高
森重 細貝 塩谷
西川

しかし実際は、以下の「俺達のサッカー」が抜けきらない印象が強い。

岡崎
武藤 香川 本田
細貝 柴咲
 長友 森重 塩谷 酒井高
西川

まるで「日本人らしいサッカー」の具現化

 試合を見る限り全員がフィールドで能力を躍動させ、様々な攻撃を展開させた。
スペインのスタイル「ティキタカ」を目指したが、スペインの中でも無駄だと思えるパスを省き、攻撃できるタイミングでは確実にシュートまで結びつける印象である。

アギーレ監督は「日本人らしさ」や「日本化」などの言葉を口にすることは無かったが、まるでこれこそが日本人のサッカースタイルだと思える戦術だった。

守備はマンツーマンで根性プレス

 2005年にオフサイドのルールが変わったが、世界では2014年頃ですでにラインコントロールを戻すチームが増えていた。
ただ昔ほどはっきりとしたラインコントロールではなかったため、著者ビリーとしては「なぜもっとはっきりラインコントロールをしないのか」とヤキモキしていた。

ザッケローニ監督のエリア戦術を習得していれば

 しかしながら日本代表はザッケローニ監督でカテナチオを習得し損ねたため、未だマンツーマンの根性プレスで戦っていた。
そのためラインの裏をとられてカウンターを多く受けたことも否めなかった。

 ラインコントロールでラインを上げると後ろのスペースが空くため、カウンターを受けやすくなると思う人もいる。
しかしマンツーマンマークの場合、相手FWが上がると味方DFも下がるためにディフェンスラインの前が空くことになる。
そのスペースに相手トップ下が入り、スルーパスを決められやすくなるのだ。

日本人らしいサッカーの原型はすでにあった

 守備ではザッケローニ前監督のカテナチオ、攻撃ではアギーレ監督の洗練されたトータルフットボール。

この二つの戦術を組み合わせれば、オシム監督時代から目指す「日本人らしい戦術」に近づけたのではないだろうか。

 日本代表はこの時すでに世界最先端の戦術に近づけるチャンスはあったが、理解しようともせずアギーレが告発されたことで放棄した形となる。

そして再び「俺たちのサッカー」が顔を出すことになる。

アギーレ監督が八百長疑惑で告発される

 アギーレ監督は、スペイン検察庁により「当時降格圏にあったサラゴサで八百長疑惑の試合があった」とバレンシア予審裁判所に告発された。

2015年2月3日、日本代表監督を解任される

 知り合いが「アギーレ前監督はメキシコ出身だから犯罪の中で生活していたはず」と言っていたのだが、どうやら巻き込まれてしまったようだ。
八百長をやったかどうかは別として、サッカーの文化に違いを感じる。
日本にはサッカーくじのToToがあるが「その比では無いな」と思いつつ、野球賭博のニュースを思い出して「どこの国でもあるんだな」と考え直した。

その後は無罪の判決が下る

 約5年後の昨年12月9日、スペインの裁判所により「証拠不十分で無罪」の判決がくだされた。実際に八百長に関与したとして逮捕されたのは2人らしいが、告発された41人の中で、職を失ったのはアギーレ監督ただ一人だったそうだ。

アギーレ監督の進化する日本代表が見たかった

 アギーレ監督は就任から約7ヶ月も掛からずに日本代表を激変させた。
カテナチオにこだわる著者ビリーとしては守備戦術に不満が残っていたが、アギーレ監督の日本代表が進化するさまを見続けていたかった。