W杯カタール大会グループリーグ第2戦までを終えて、ベスト8を目標にする日本代表が「格下相手に大差をつけられない理由」を考えてみる。
W杯カタール大会前まで日本代表のシステムは長らく4231であり、全体の連動性としては「433から343に変わる可変システム」も試したが、「4231のSBが上下する程度」にとどまった。
また日本代表が採用する「サイドで数的優位を作る戦術」には欠点がある。
日本代表が格下相手に大差をつけられない原因
W杯開幕後、格上相手と対戦することで浮き彫りとなった日本代表の欠点を書き出してみる。
①ラインコントロールが低い
日本はディフェンスラインが異様に低いため、全体が間延びしてほぼ1対1を延々と続けるような「根性プレス」がW杯開催前までの印象である。
【参考】根性プレスとは
ドイツ戦の後半から急遽ラインコントロールを行うが、微妙にラインを上げるだけで全体の連動性は無いまま終わった。
カテナチオと呼ばれる重要なスペースを使わせないエリア戦術や、全体の距離感を統一してゾーンプレスを目標とはしているが、まだそのレベルではない。
【参考】カテナチオとは
②システムとポジションの役割を理解してない
各ポジションの役割を理解していればシステム変更や入れ替わっても機能するはずなのだが、入れ替わった後にそのポジションでの動きをできず、そのポジションに収まれない。
流れでポジションを変えてもポジショニングの正確さと連動性が全くない。
【参考】各ポジションの動きとは
③動き直しがない
日本代表の連動性は「本来のポジションから離れ、ボールに関与する人数を増やして攻撃する」だけで終わり、ワンツーやポストプレイをしても動き直さないためシステムは崩れたままになる。
そのため中盤からDFへパス戻すとディフェンスラインでパス回ししか選択肢が無くなる。
また押し込めた状態でも相手のディフェンスラインに入ったまま動き直しが無く、味方同士のポジションも重なり数的不利になることも多い。
俗に「ボールを持っていない時の動きであるオフザボールが足りない」と言う。
動き直しができないために5トップとなってしまった日本代表のコスタリカ戦。
④ビルドアップからシュートまでの流れがいつもその場しのぎ
ボール奪取から中盤でもボールを受ける基本的な動き(ポストプレイ)ができない。SHやWBが上がりっぱなし、下がりっぱなしでビルドアップに参加しないため中央がスッカスカ。
ペナルティエリア付近までいっても強引さが無いためにシュートを打てない。
現在の日本代表のスタイルは…
日本代表は「ポゼッションを目指すカウンター型のチーム」を目指しているのだが、実際は「カウンターを忘れてボールを持たされるチーム」だろう。
加えて戦術にバリエーションが無いため、数的不利になった中盤を潰された途端に点が取れなくなる。
そのために大差で勝つことが滅多にないのだろう。