前回までの通り、日本代表が次回のW杯でベスト8以上に残るためには戦術的な動きが求められる。日本人選手はブラジルを手本とし、個人技とフィジカルを鍛え上げてきた結果、ポジショニングが最も苦手な技術として残った。
シリア代表で試す戦術はシステム変更とポジショニング。
カタールW杯では日本代表が出来る限りのトレンド戦術を行い、今後はポジショニングの精度が高めるだけとなっていたが、カタールアジア杯でまさかの戦術の退化。
すでにW杯最終予選への進出が決まっている日本代表は、2024年6月のW杯2次予選の二戦で今後どこまで世界へ近づけるのかを占うと言えるだろう。
日本代表(18位)とシリア代表(89位)は日本代表から見て格下であり、その相手に対して如何に戦術的な動きが出来るか試される。
※(カッコ内)は2024年4月4日時点のFIFAランキング。
【2024年6月のW杯2次予選】
- 二試合で目指すべき戦術とは
- 最終予選で必要になるシステム変更とは
- 王道戦術と日本代表の課題とは
- Youtubeでビリーの試合観戦
※試合の録画と合わせて見てね!
結構な罵声を出しているので見る方はご用心を。
歴代最強のシステムとスタメン
上田
南野 久保
中村 堂安
遠藤 田中
町田 板倉 冨安
- 上田綺世…中央でポストプレイにより両サイドのWBの上がる時間を作る役割と相手のラインをコントロールする役割。
南野と久保が開いた場合は中央に下がることでゼロトップの動きも可能。 - 南野、久保…トップ下に二人が並ぶいわゆる2シャドーで、MFとWGの両方の役割を担う。上下左右へのパスとドリブルでシュートまで打つことが目標とされる。
- 中村、堂安…二人が上下することで攻守両面に参加し、常に数的有利を作るWBのポジション。
SBの役割も果たすためラインコントロールが出来なければならない。 - 遠藤、田中…ビルドアップでDFと前線をつなぐ中盤となる。攻守の切り替えで重要なポジションであり、ラインコントロールをする際は最終ラインを押し上げるために上る必要もある。
場合によってはディフェンスラインに加わりCBとして機能する必要もある。 - 町田、板倉、冨安…3CBとしてのボール回しと攻守両面においてラインコントロールが重要となる。
全員が戦術的に機能すれば歴代最強
すでに欧州の強豪チームでスタメンを勝ち取る選手たちが揃った現在、全選手が戦術的に機能すれば恐ろしく強くなるだろう。
それこそまさに歴代最高で最強とも言えるレベルだと思う。
FIFAランキング10位も夢ではなく、運が良ければ上位にも勝てることすらあるかもしれない。
しかし現実は想像以上に甘くはない。
欧州だけではなくアジア各国も戦術的に進化を見せ、不可解な判定が多かったとは言え、アジア杯では優勝できなかった。
今回のように格下相手だけ見れば得点能力も増し、圧倒することは出来た。
果たして今のままで同格以上の相手に同じことが出来るだろうか?
遠藤は本当に世界的な選手なのか?
結果を言えば遠藤が中心となってシステムを崩したため、戦術的な試行は何も出来なかった。この試合自体を無駄にしたのだ。
この試合はラインコントロールすら存在しなかった中田英寿、小野伸二らの黄金世代や、その後の本田、香川らのプレミア世代と戦術的に差がなかった。
この試合からは20年前と変わらず何も進歩がなかったのだ。
遠藤はイニエスタの真似をしている?
DMの遠藤には大きな疑問が残る。
所属するチームではここまで下がったボールのもらい方は余り見られない。
しかし日本代表に入った途端にイニエスタのようにボールへと近づき続ける。
果たして遠藤は何をしようとしているのだろうか?
田中碧は遠藤の真似をしている?
DMのポジションからも積極的に前に出てシュートを打つ田中碧だが、遠藤と組んだ途端にイニエスタ化してしまった。
守備的な遠藤と攻撃的な田中碧と想像し、あわよくば押し込んだ状態では更なる数的有利を作るシステム変更を期待していた。
それは「長谷部誠が一列上がってきたCBに加わり、遠藤保仁が攻撃的なDMになる」と言えば分かりやすい人もいるだろう。
二人が並び続ける必要もなければ、重なるなんてもっての外だった。
遠藤と田中がシステムを壊し続けた
蓋を開けてみれば二人共がボールへと近づき、ポジションが重なり、本来いるべきDMのポジションを空にしたことで、中盤では二人足りない数的不利を自らが作り出していたのだった。
図.00:37①
開始37秒の時点でDMの田中と遠藤がすでにおかしなポジショニング。
田中碧も遠藤も相手の赤いラインへと入ってしまい、ビルドアップのためのポジショニングが全く出来ない状態。
この試合で二人は終始このポジショニングを行うため、中盤での数的不利を作り続ける結果となった。
さらに全体的にズレたポジショニングを取っているのだが、下へ進む前にご自身ならどこにポジションを取るか考えてみてほしい。
図.00:37②
ボールへ近寄りすぎる遠藤と田中は本来赤い枠の青い三角形の位置に入るべき。
遠藤と田中がボールへ近寄りすぎるので中村が上がるのだが、シリアのディフェンスラインの裏を取るためでもビルドアップのための位置でもない中途半端な位置を取る。
恐らく遠藤のポジショニングに困惑しているのだろう。
3CBの場合、両サイドの町田と冨安はもっと広がらなければならないのだが、狭いためにボールも回らない。
画面下の堂安もビルドアップのために無人の青い三角形のいちに入るべきだが、恐らくリフティングをしながら買い物中である。(もちろん支払いはVISAカード。)
図.00:41①
試合開始直後からCB3人と両サイドのWB合わせて5人のディフェンスラインで「お椀型」を作れないため、基本のボール回しすら行えない状態。
ポジショニングを修正するとしたらどうしたら良いだろうか?
正解は下図。
図.00:41②
数的有利を作るための3-4-3なのにDMの田中と遠藤は二人共ボールへ寄っていき重なった結果、誰もいない斜線部分の無人の領域ができる。
腐女子が見れば間違いなく二人はできていると思うだろう。
また堂安は支払い後商品を忘れたのか、未だに画面内へ戻ってこない。
ポジショニングのレベルで言えば、大学のサッカーサークルのようなレベルに見えるのは自分だけだろうか。
図.00:41
この図はたまたまの流れでこうなったのだが「強いてポジショニングを修正するのであれば」の話。
田中碧が青三角の位置からドリブルで黄色い曲線をドリブルで描いたのだが、冨安が青三角の位置へ素早く動きボールを受け、田中碧は動かず残るべきだった。
また左右の差はあるが遠藤が下がり目の位置でプレイし、田中碧が前に出る役割を担うべきだろう。
堂安はようやく買い物が終わったのか、画面内に帰ってきた。
WBならばディフェンスラインでのボール回しに積極的に参加するべきだろう。
アイソレーションはWGとWBが入れ替わればすることもあるが、本来WGの役割であって、最初からWBが待って行うべきものなのだろうか?
遠藤と田中碧のポジショニングがズレ続けた結果
上田
南野 久保
中村 堂安
中盤が不在
遠藤 田中
町田 板倉 冨安
試合を通じて上図のように中盤が不在の状況ができ、南野や久保がポジションを離れてDMの役割を担う事となった。
上田
. 南野 堂安
中村 .
久保
遠藤 田中
町田 板倉 冨安
すると右サイドでは堂安がWGの位置に入り、意味のないポジションチェンジが行われた。
これは流動的な動きではなくただポジションが悪い結果、動かざるを得なかったのだ。
選手交代が行われる後半まではずっとこの調子のため、戦術の進化や各自がチームで磨いてきた技術を見せるレベルではく、ただただ格下のシリア相手に見応えもない草サッカーが続いた。
W杯でこの布陣を揃えることは不可能
組み合わせ順によっては可能かもしれないが、超過密日程の中でこの体調管理を維持したままこのスタメンの名を連ねることが出来るだろうか?
本大会で難しいのはメンバーと体調と相手の戦術との相性を揃えることであり、圧倒的な層の厚さが求められる。
その中でこのレベルを揃えることは有り得ないと思われる。
最終予選までに修正は可能なのだろうか
DMはポジショニングの指導者が不在なのだろうか?
日本代表にはロールモデルコーチがいるそうだが、まるで機能していないがごとくポジショニングがおかしい。
もはや二人のせいでチーム全体の戦術が機能していない。
課題が多く残る戦術の進化はなし
特に遠藤と田中碧のMFのポジショニングが酷く、二人が下りすぎたことでシステムを崩し、試合はただの個人戦となった。
日本でポジショニングを指摘する人はほぼ皆無であり、格下相手に5-0の得点差を絶賛するだけの評価だった。
6月の二試合は戦術を修正し、「ラインコントロール、数的有利を作るためのシステム変更、疑似カウンター」と進化させるハズが大きく退化したままとなった。
同格以上は343のシステムで戦うことになる
堂安がWBに入れたことが唯一の収穫と言えるが、後ろから二列目のDMがラインコントロールを出来るようになり、さらに両サイドの中村と堂安のWBはラインコントロールに参加できるのだろうか?
現代サッカーにおいてラインコントロールは攻守両面において多大な影響を与え、数的有利を作るためには絶対的に必要となるのだが、出来なければ数的有利を作れない。
日本はカウンターで同格以上の相手を一瞬上回り勝つ戦術なのだが、システム変更を諦める以上は同格以上の相手では今後も厳しいだろう。
後半途中から新戦術の4CBを試した
正直ビリーは知らなかったし気づきもしなかったのだが、森保監督は欧州でトレンド戦術になりかけている4CBという戦術を試していたらしい。知らなかったOTL、
上田
南野 久保 堂安
遠藤 田中
伊藤 町田 板倉 冨安
4CBなんて名称がついて入るが、ただCBもSBも出来る人が4人並ぶだけで特に代わり映えのない戦術に思えるのだが、それが何になるのだろうか?
Youtubeの動画によるとSBに入ったCBが上がりすぎないことで最終ラインが守備的で安定するそうだ。
何の意味が!?
チームにCBが多く、リードした状態から逃げ切るためにCBを4人並べる戦術だと思うのだが、騒ぐほどの戦術には思えない。
前回書いたように、日本代表は「格下、同格、格上」の三段階でシステムとメンバーを入れ替えるだろう。
この試合の成果
- 堂安がWBをすることで右サイドの戦術的要素が活性化される。
左サイドの中村はラインコントロールが出来るのだろうか? - 4CBのオプションを確認できた。
- 5点挙げて盛り上がった。