当初は日本時間2:00にキックオフと聞いていたシリア戦だが、どうやら直前に23:45へと変更され、さらにボールも変更された。16日のミャンマー戦ではアディダス製だったのだが、21日のシリア戦ではモルテン製のボールへ変更されたことで「ボールがいつもより浮かず、跳ねる」様に感じ、選手は感覚が狂ったそうだ。
日本側に許可もなく話が二転三転したようだが、シリアも「死物狂いで日本に勝とうとしていた」と言うことだろうか。
【参考】試合開始前までの分析
・シリア代表の分析
・ミャンマー、シリア戦での日本代表を予想
高騰する放映権料と試合の観戦方法
また今回最も注目された話題は選手や戦術ではなく、放映権料に関してだった。
最近では有料放送やネット放送が一般化されたことでサッカーの放映権料は年々高騰し、今回の放映権はW杯といえどもアジア2次予選では異例の1億円だったと聞く。
3日前には契約に至りそうだったとも聞いたが、結局は破断に終わったようだ。
経済大国日本と言われても無限に資金があるわけでもなく、サッカー協会としては断った(不買の)実績を作ることで放映権料の高騰を避ける前例を作ったこととなる。
ファンは試合観戦の方法を探す
SNSでは試合をどうやって見るかが話題となった。
試合は内戦が続くシリアではなくサウジアラビアで開催され、サウジアラビアの国営放送がインターネットなので見れると言う話だったり、その他ネット放送でも見れると言われていた。
自分も探していたところYoutubeで実況している人が居たので助かった。
日本代表は地獄のBグループ
日本代表が所属するグループは、『地獄のBグループ』と言われる。
内戦が続くシリア、ミャンマーでは自国開催すらままならなず、ほぼ鎖国の北朝鮮では帰ってこれるのか心配されている。
ここ数日ではまた北朝鮮からミサイルが発射されるなど、日本も戦争になるのではないかと危惧され、平和ボケしている場合ではない。
シリア戦のスタメンと戦術の分析
そもそも「欧州組を呼ぶのか?Jリーグ選抜で十分では?」と思っていたのだが、ほぼ全員が欧州組であり、まさにA代表と呼べるメンバーだった。
予想システム(フォーメーション)の4-2-3-1
上田
浅野 久保 伊東
守田 遠藤
伊藤 冨安 谷口 菅原
鈴木
三笘、鎌田ら欠場組がいるとは言え、現状でほぼ最高のスタメンを揃えた状況。
スタメンのレベルとしては「FIFAランク92位に対し、18位の日本がここまで全力を出すのか?」と言うレベルだったが、ボールなど変更されたことで森保監督が不測の事態に備えたのだろうか。
上記システムとメンバーでは大きなシステム変更を行えるとは思えない。
無理やり考えた4-4-2のシステム
強引にシステム変更を行うとしても4-4-2ぐらいだろうか。
浅野 上田
伊東 久保
守田 遠藤
伊藤 冨安 谷口 菅原
鈴木
左SBの伊藤は偽SBが得意、右SBの菅原はオーバーラップと長いパスが得意、そんな特徴を考えたが無理なシステム変更は無いだろうとの予想に終わる。
【参考】偽SBとは
戦術はオーソドックスな1対1で勝つサッカー
試合開始当初は森保監督が何をしたいのか分からなかったほどだが、試合展開を見ていると納得する部分があった。
パスやトラップなど一つ一つが雑に見え、思い通りに連携ができずもがいている様にも見えた。
本当に代表戦なのかと思っていたのだが、ボールへの感覚が想像以上にズレていたのだと気づいた。
システム変更を意識するのではなく1対1なら確実に勝てると踏んで、森保監督は確実性を選んだのだろう。
怪我を防止するための招集
欧州の過密な日程で疲労が溜まり怪我をしかけている選手が多く存在するため、森保監督は休ませるために選手を招集し休ませていたと聞く。
欧州は世界でも有数のトップリーグが幾つも存在するが、どうやらコンディショニングはアメフトほど発達していないようだ。
レアルマドリードでは今でも40年前の怪我をする筋トレやフィジカルトレーニングなどを行うため、怪我をする選手が続発し2チーム作れるほど層が厚くてもローテーションすら組めないスタメンの状況だと聞く。
怪我をさせて使い捨て状態が現状のようだ。怪我をさせてまで行うプレーが美化されているとでも言えるだろう。
【参考】スポーツパフォーマンスを向上させる『ボディデザイン講座』
ボールの支配と不可思議なポジショニング
試合開始早々から日本がボールを支配し、スタッツ(数字での分析)では80%以上日本が保持する時間帯もあった。
ただ1点目が決まるまではトラップもパスも上手く繋がらなかった。
その理由は日本代表のポジショニングがおかしいことが原因だと思う。
- 特にDMFがボールに近寄りすぎてサイドが狭くなり、SBなどの味方とポジションが重なり数的不利な状況を作る。
- 展開できなくなるので後ろに下げざるを得なくなり、結局キーパーへ返す。
- ハイプレスを掛けられるとキーパーはボールを展開できなくなるので、大きく前線へ向かって蹴り上げる。
日本代表は20年近く前から延々とこれを繰り返している。
【参考】サイドで数的有利を作る戦術の欠点
1対1で余裕を持って勝てるならば問題ないが、これを続けていても進歩がない。
ただ日本代表が全力を出すと10点以上取れると思われるが、もしラフプレイをされて怪我をしたら損なので、大胆な戦術はしなかったと考えるのが当然なのだろう。
森保監督はトータルで考え、シリア戦をあえて1対1の強さを確認する試合にしたのだ。(あくまでも推測。)
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個人のレベルを確認する試合
試合展開で特筆すべてきは、欧州リーグで活躍する選手の強さが目立つこと。
シリア代表選手がボールを持つと、最低一人以上が追い回しプレスを掛ける。
追いつくとファールとも思えるほど執拗につきまとい、イエローカードギリギリのプレイでボールを奪うか潰すのだ。
体格の大きさや強さ、速さと言ったフィジカルは最早アジアレベルとは思えない。ヨーロッパのチームがアジアでサッカーをしているかのようだった。
久保建英の適正ポジションは右WG?
U-22世代なのにすでにA代表でスタメンを奪い合っている久保建英選手だが、本当に右WG(SH)に収まって良いのだろうか?
今後日本代表の中心になることは間違いないのだが、現日本代表で一番ほしい選手はCMF(セントラルミッドフィールダー、中央の選手)だと思う。
一昔前では中田英寿、小野伸二、本田圭佑ら本格派が余るほど揃っていたにも関わらず、現在は鎌田、南野らはいるが調子を落としている。
ちなみにCMFをやっていた選手たちはキャプテン翼に憧れてそのポジションをやっていたのだとか。
何故現代のCMFは輝け無いのか
これらは久保建英だけに当てはまる理由ではなく、一般論として3つある。
- そもそもCMFのポジションは、中盤から中央と両サイドのビルドアップに加え、両WG(SH)とCFに対してパスを出しながら自身もドリブルとシュートを狙う。
- 現在はどのチームも「現代のカテナチオ」が主流となり、中央でのディフェンスが堅固となり以前ほどドリブルはおろかパスさえも通しにくくなったのだ。
- さらに日本代表に限らず、狭くなった中央でポジショニングを正確に行い、止めて蹴る精度が求められる。
中田英寿とトッティの対談で「現代サッカーは尋常ではないフィジカルが求められ、その結果面白さが無くなってしまった」と話されていたが、選手全員のフィジカルが上がった結果、技術だけではこの二列の壁を中央から切り崩すことが並大抵のことではなくなってしまったのだ。
・現代のCMFは相手の守備二列が整うと、もはや狭くて中央では何もできない。
上図では両WGが極端に開いた状態。WGが中央によると更に狭くなる。
・そのためCMFがどちらかのサイドに寄り、大きく開いた側でアイソレーションの状態を作り、擬似的なカウンターを行う。
【参考】アイソレーションと疑似カウンターとは
久保建英は戦術として求められる
日本代表のCMFは、両WG(SH)とCFのスピードを活かすパスと連携が求められる。
さらに久保建英は、メッシのように中盤から全ポジションへ顔を出す戦術久保としてのプレイを期待したい。
【参考】日本代表の可能な戦術
パリオリンピック世代の台頭とA代表
パリオリンピックが来年と控える中、パリオリンピック世代のU-22は2チームが作れるほど層が厚いと聞いた。
現在A代表では2チームが作れると言われているが、全て本当の話なら日本代表は3年後には4チームが作れるほどの層になる。
経済大国である日本なら当然の話なのだが、戦術の遅れがサッカーの発展途上国となってしまった理由である。
パリオリンピック世代でいかに戦術的な理解をできるかで3年後の未来は違ったカタチになるだろう。