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【11月28日】グループF クロアチア対カナダ

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 クロアチアは世界ランキング12位。
前回大会で準優勝、ルカ・モドリッチレアルマドリード所属で大会MVPを受賞した選手。
世界を代表する司令塔は居るが、パスを受けてディフェンスラインの裏を取れるようなFWが不在?

また後ろからの押し上げが遅く、攻撃の速攻が課題だろうか。

 カナダは世界ランキング41位。
世界ランキングには大きな差があるが、体格ではカナダが勝る。
クロアチアの緒戦を見る限りディフェンシヴなチームであるため、明確な攻撃的な戦術が善戦できるはず。
DFが大きく開き、ボールの綺麗な展開が美しいチーム。

世界での経験が少ないのか、ゾーンからマンツーに変えるタイミングが遅く、穴ができやすい。
日本同様にWBを採用し、ディフェンス時は5バックになる。

クロアチアはドイツに似ている

 前半開始早々、カナダのロングパスが中盤へ通り、見事に先制点を挙げる。
中盤でのトラップが見事であり、まるで足に吸い付くようだった。

前半の戦い

 カナダはラインコントロールは見事であるが、ここぞという時に下がりがちである。

また「ゾーンディフェンスからマンツーマンへの切り替えが遅い」、「マークの受け渡しに難がある」など、ディフェンスとしての穴が大きい。

カナダは先制点を挙げたものの、マンツーマンへの切り替えが遅くなったことで選手をフリーにし、同点に追いつかれる。

この時もサイドから攻められるとボールウォッチャーになってしまった選手がマンツーマンへの切り替えが遅れ、フリーにしてしまった。

クロアチアの戦術

【ディフェンス】

 クロアチアはドイツと同等と考えると分かりやすいが、ディフェンス面における中盤でのプレスは比較的軽く、ディフェンスラインを割と下げることが多い。
ディフェンスラインはラインコントロールが低いものの、試合展開に応じて3~5バックを自在に変えている印象。
対戦する相手国としては裏は取りづらいが、ボールを保持するポゼッションサッカーができると考えて良いだろう。

【オフェンス】

 オフェンスに関してはルカモドリッチが「穴を探してついてくる」と考えて良いが、ラインが下がることが多いために攻撃の展開が遅い。
モドリッチにマークが集中しがちだが、全体に穴がなければレベルが低いわけでもないため、全体がいつでも隙きを見計らっている。
隙間や穴は確実についてくる。

チーム全体としてミスが少ないため、相手国も無駄にボールを渡すようなことを避けべきだろう。

カナダの戦術

【ディフェンス】

 屈強な体格をした選手たちがラインをコントロールして並ぶ。
ゾーンからマンツーマンに切り替えるタイミングが遅いため、穴ができやすい。
戦術的に古いわけではなく、ヨーロッパで広く使われている様なフォーメーションやポジショニングも随時見られる。
右写真では画面の下に左SB(サイドバック)がおり、低いラインではしっかりと数的優位を形成している。

【オフェンス】

 ラインコントロールから距離感が上手く保ったチーム全体がコンパクトにまとまっており、パスワークから繋いで運ぶスタイル。
距離感を保つがポジションからずれる選手が多いため、一々パスを出す味方を探しているため攻撃に速攻性が無い。

しかしこれはクロアチアのディフェンスが速攻を見事に消しているとも考えられる。

後半の戦い 目立った戦術の変更は無し

 メンバー交代はあるが、特に目立ったシステムやフォーメーションの変更は無い。
日本のようにスピードスターを投入するかと思うが、そうでもない。

 クロアチアは前線でパスを回す間に後ろからスペースに走り込み、フリーな選手へどんどんパスを回して仕掛けさせる。
ミスをしない限り延々と基礎的な事を我慢強く続け、体も強い。
良く言えばトータルフットボール、悪く言えば策が無いチームだ。

カナダのボールウォッチャー

 目立つのはカナダのマークが剥がれたりズレることが多く、またカウンター時もフォローよりディフェンスラインに固まってボールウォッチャーになることが目立つ。

四枚の写真を用意したのでまずは一枚目を見てほしい。
一般的にカウンターを仕掛ける際は、ボールに関わる選択肢を増やすために縦と横の関係を作り、速攻を仕掛ける。
これが理想である。

二枚目であれば青い蛍光線のように並行して上がればニアもファーもフォローへも行けるのだ。
カウンターと言えど数的優位を作ればマークがずれたりフリーになる選手も出てくるので、押し上げたのであれば大事にするべきでったのではと思う。

ところがカナダの選手たちは、センタリングだけを待つどころか、ボールへの関与を避けているかのごとく一箇所に固まっている。
もしかしたら決め事だったのかもしれないが、これでは折角の速攻も台無しである。

本来はセンタリングが駄目であれば青色のゾーンで固まった選手たちが黄色のゾーンへ動き直し、フォローをすべきところ。
後半きつい場面ではあるが、これをやらないとドリブルでの押し上げも無駄になる。

結局出しどころが無く、後ろへ戻す結果となってしまった。

世界の戦術を実践するには技術と経験すべてが必要になる

 前半からポゼッションゲームとラインコントロールゾーンプレスを行っていたため、体力の消耗が激しいことも見て取れる。
気候の面も含めて、前半から攻撃し続けることはあまりにも危険だと分かるが、カナダがクロアチアに勝つためにはせざるを得なかった戦術だということだろうか。

カナダはポジショニングを見ると世界の最先端の動きに見える。
しかしゾーンディフェンスからマンツーマンのマークに切り替えるタイミングや、個人の技術、ポジションを変わった時の連動性やフォーメーションの変形に選手自身がついていけてないように見える。

ポゼッションサッカーの見本はスペインとカナダ

 しかしカナダは日本が見本とするには丁度良いほど分かりやすい試合展開をしている。
カナダのフォーメーションやポジショニングを参考にすると良いだろう。

スペインが程よい距離感でボールを回すとしたら、カナダはフィールド全体を使ってポゼッション行うと言えば分かりやすいかもしれない。

試合展開はカナダのポゼッションが有効であったが、決め手が無いままカウンターを受け続け、4-1で終了した。