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【EURO2024 グループC 】イングランド代表の戦術を分析

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 イングランド代表は、FIFAランキング4位(2024年4月4日)で、 UEFA(欧州サッカー連盟)内の順位では3位。

フィジカルで強いイングランドだが、「イングランド代表チームからは戦術が消えた」と言われている。

イングランド代表のメンバー

監督

ガレス・サウスゲート

GK

ディーン・ヘンダーソン(クリスタル・パレス)
ジョーダン・ピックフォード(エバートン)
アーロン・ラムズデール(アーセナル)

DF

ルイス・ダンク(ブライトン)
ジョー・ゴメス(リバプール)
マーク・グエヒ(クリスタル・パレス)
エズリ・コンサ(アストン・ビラ)
ルーク・ショー(マンチェスター・U)
ジョン・ストーンズ(マンチェスター・C)
キーラン・トリッピアー(ニューカッスル)
カイル・ウォーカー(マンチェスター・C)

MF

トレント・アレクサンダー・アーノルド(リバプール)
コナー・ギャラガー(チェルシー)
コビー・メイヌー(マンチェスター・U)
デクラン・ライス(アーセナル)
アダム・ウォートン(クリスタル・パレス)

FW

ジュード・ベリンガム(R・マドリー)
ジャロッド・ボーウェン(ウエスト・ハム)
エベレチ・エゼ(クリスタル・パレス)
フィル・フォーデン(マンチェスター・C)
アンソニー・ゴードン(ニューカッスル)
ハリー・ケイン(バイエルン)
コール・パーマー(チェルシー)
ブカヨ・サカ(アーセナル)
イバン・トニー(ブレントフォード)
オリー・ワトキンス(アストン・ビラ)

【6/17 第1戦】イングランド 対 セルビア(1-0)

システム 4-2-3-1

6月17日イングランド代表のシステム(セルビア戦)

使用戦術

試合展開

 豪華なメンバーなのでボールタッチを基本としたパス回しやドリブルなど安定しているのだが、それだけでしかない。明確な戦術の動きが無く、システム変更すらも感じない。

【守備戦術】

  • ディフェンスラインだけしかラインコントロールができないため、数的有利を作れずにフィジカルで抑え込むしか無くなる。

【攻撃戦術】

  • GKからつなげるビルドアップを行う際、CMFが降りてきて4-3-3へシステム変更し、MFの三人がポジショニングを変えながらマークを外してDFとともに押し上げる。人数を掛けることで遅行にはなるが、徐々に前進することができる。
イングランドの印象 
 カタールW杯から常識となった改良型カテナチオ(ラインコントロール+カテナチオ+ハイプレス)に対抗するためにワイドプレイを行うのだが、数的有利を作るシステム変更をせずにバルセロナの黄金期のティキタカ(パス回し)を目指しているように見える。

その結果なんの戦術もなく、ただひたすらボールを追い回すはるか昔のような選手任せのサッカーとなっている。

その原因の一つは「メンバーを名前で選んだ」と言われており、ポジションの本職ではないメンバーを集めてしまったようなのだ。

本当にそんな馬鹿なことをするのだろうか…???
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【6/20 第2戦】イングランド 対 デンマーク(1-1)

システム

 

使用戦術

試合展開

 解説も言う通り、優秀な選手は揃っているが明確な戦術が見えない。

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【6/30 ラウンド16】イングランド 対 スロバキア(2-1)

システム 4-2-3-1

6月30日イングランドのシステム(スロバキア戦)

使用戦術

試合展開

 終始試合をコントロールしていたのはスロバキアだが、90分のロスタイム中のラストプレイで、コーナーからのパワープレイからオーバーヘッドキックで同点とされる。

延長開始とすぐにほぼパワープレイで勝ち越し点を許した。

スロバキアは2点目を取りに行かずに守りに入ったが、最後のワンプレイで同点とされたことで延長戦流れのを決めてしまったか。

 個人的にはスロバキアに勝ってほしかったのだが、結果はパワープレイだけのイングランドが勝利となった。

スロバキアに足りなかったのは、大きな大会で勝ち残る経験だろうか。

【守備の特徴】

  • ラインコントロールが若干低い状態でハイプレスを掛けることで中盤が空き、そこへ展開されると簡単に押し込まれてしまう。
  • 攻守ともに重要となるラインコントロールだが、基本の上下が無いために全ての距離感が狂っている。
  • ラインコントロールが低いためにハイプレスを捨て、PA前でカテナチオからマンツーマンへと切り替えてからは安定感が改善されたように見える。

【攻撃の特徴】

  • 選手同士の距離感を保てずボールへ集まってしまう癖があるものの、試合数が進むにつれてワイドプレイに適応しだした感じがする。
  • どうしてもボールへ寄ってしまうため、時間がかかると集まってしまう。
  • ディフェンスラインで展開しようにも、味方同士が重なったままボールウォッチャーになってしまうためにいつまでも展開(グラウンダーでのビルドアップ)が出来ない。
  • ディフェンスラインから展開ができない時に、逆サイドのSBがMFの位置へ入る偽SBを行うのだが、無駄にポジションチェンジを行い過ぎて、流れの中で乱れた味方のポジショニングを修正することが出来ず、居なければならない位置に味方が居ない。結局味方重なってしまい、ポジションをずれることが出来ない。
  • DMがディフェンスラインへ寄ってしまうため、ディフェンスラインから中央にボールが出てこない。するとサイド際でのビルドアップになり、スロバキアがゾーンプレスを掛けやすくなる。
ワイドプレイとビルドアップとパワープレイ
 昨今ではビルドアップにこだわりを見せるチームが多いが、試合を決めるイングランドの点はほぼパワープレイだった。

VARもある現在、PAへボールを放り込めば何が起こるかわからない典型的な試合となってしまった。

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【7/6 準々決勝】イングランド 対 スイス(1-1 PK5-3)

 戦術としては不完全でパワープレイばかりのイギリスだが、修正はされているだろうか?

システム 3-4-3 DF5-4-1

 

使用戦術

試合展開

 どちらのチームもワイドプレイの意味を分からずやっている印象。解説の鄭大世氏によると疲労の部分が大きいのではないかとのことだが、ポジショニングに違和感が拭えずビルドアップも苦し紛れ。

【守備の特徴】

  • 5-4-1でワイドに構え、パスを左右に振らせる疑似カウンターを阻止するディフェンス。ツリー型で三角形になり、左右に追い込むイメージ。
  • 中盤ではマンツーマンでつかないため、一度ポストプレイが入るとかなり進む。

【攻撃の特徴】

  • GKからのビルドアップ時にDMのポジショニングが遅いため、展開が非常に遅い。
    しかしスイスのマンツーマンやコース切りが甘いために割と簡単にスイス陣内へボールを運ぶことができる。
  • 押し込んでからもワイドプレイの意味を分かっていない、かつスイスのマークも緩いためにボールを回し続けるだけの試合展開が続く。
スイス同様に進化が止まったイングランド
 ワイドプレイでなければいけない理由はないが、選手間の距離を一定に保つことが出来ず、前戦から修正し切ることが出来なかった。解説は疲労を指摘していたが、ポジショニングの修正は試合中の選手交代でようやく改善の兆しが見えたが、交代選手が中盤に入ってドリブルを見せてようやく全体が動き出す程度に留まった。
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【7/10 準決勝】イングランド 対 オランダ(2-1)

 ワイドプレイでのビルドアップを修正することが出来るだろうか?

  • 対戦相手のオランダ代表の戦術分析

システム 3-4-2-1

 

使用戦術

試合展開

 

【守備の特徴】

  • 4-4-2を基本にディフェンスラインは相手よりも一人多く設定し、3-4-3など後ろで余らせない方式。ディフェンスラインに入る相手が増えれば、後ろの人数も増えていく。
  • 上記のシステムからボールを取られた時点でプレスを掛け続ける。
    たしか今大会でフランス代表が行ったディフェンス方式。新しいカテナチオと言える。
  • プレスを掛け続け追い込むことでオランダにビルドアップをさせない。

【攻撃の特徴】

  • 3バックに変更し、ワイドプレイを諦め従来のビルドアップの距離感で試合を進める。
  • 逆サイドでアイソレーションを作ることでワイドプレイのような雰囲気を作り、そこへボールが入ればポストプレイで一気に高い位置を取り、長い時間を作ることが出来る。
  • 10 ベリンガムや11 フォーデンがポジションを変えながらマークをずらしてビルドアップを行うことで、オランダがマンツーマンマークを出来ない。
    スペインのティキタカのような雰囲気を作ることでEURO2024でようやくビルドアップを立て直した。
  • 1-1になってからはこの方法で落ち着き、オランダの陣地内で一時的に65%のボール保持率となった。
準決勝で全く別のチームになったイングランド
 イングランドは前試合までビルドアップに難点があり、中盤でのポストプレイやフォーデンを中心としたポジションチェンジによりマンツーマンをさせないことでオランダディフェンスを乱した。ワイドプレイにもこだわらず、外側の選手が広めに位置することで部分的にワイドプレイになっていた。
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【7/14 決勝】イングランド 対 スペイン(1-2)

システム

 

使用戦術

試合展開

 

【守備の特徴】

  • 基本は4-4-2の守備陣形で、そこからマンツーマンでDFを増やすシステム。
  • 中央で構えながらラインコントロールに全体がついていくことで、スペインがアタッキングサードまで入れないようにする。
  • スペインが両サイドから中央へのパス回し(疑似カウンターの完成形)を行うことでマークがズレ続け、マンツーマンが成り立たない。

【攻撃の特徴】

  • スペインの早いチェックに対して、なかなかビルドアップを前に進めることが出来ない。
  • 中盤でファールをもらい、そこを起点に全体を押し上げるビルドアップ。
ビルドアップのティキタカ
 ビルドアップ時にワイドプレイが主流になったことで結果として両チームがティキタカでビルドアップを行う形となる。しかし伝統的に戦術として定着しているスペインと大会中に結果として行き着いたイングランドでは完成度が明白であり、イングランドがスペインと対等になるためには後数試合が必要だった。