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サッカー日本代表がW杯ベスト8の壁を打ち破る為の戦術(タクティクス)をビギナー(初心者)でも分かるように分析します!

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【トレンド戦術】FWやWG(SH)が行う相手のラインコントロールとは

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FWとWG(SH)のラインコントロール

FWとWG(SH)がラインコントロールをする攻撃戦術!?

 ラインコントロールと聞くとディフェンスラインで行う守備戦術と思われがちだが、実は攻撃戦術としても存在する。ここではCFWやWG(SH)が相手のディフェンスラインを上下させるラインコントロールを説明する。

※CFWはセンターフォワード、WGはウィング、SHはサイドハーフ、DMはディフェンシブミッドフィールダー。

 

【予備知識】

 守備戦術の改良型カテナチオ(カテナチオ+ラインコントロール+ゾーンプレス+ハイプレス(任意))が流行しバイタルエリアへ近づくことさえも難しくなり、正面からのミドルや左右からのセンタリングが極端に減ってしまった。
【参考】超攻撃型の守備戦術「改良型カテナチオ」とは

するとベッカムのようなバイタルエリア少し手前からのセンタリングしかなくなるため、ライン裏への素早い速攻やカウンターが主流となったのだが、ここでCFW(センターフォワード)やWG(SH)が相手のラインを押し下げるコントロールが重要となってきた。
【参考】バイタルエリアとは

相手のディフェンスラインをコントロールする!?

 日本代表のラインコントロールを見ていれば分かる通り、相手FWやWG(SH)がディフェンスラインの裏へ走るとそのままDFが自陣ゴール側から守るために下がってしまい、ディフェンスライン全体が下がる。

もちろん場合によっては正しいディフェンス法なのだが、VAR(Video Assistant Referee)が導入され判定に正確性が導入されたことで正しいディフェンス法が変わったのだ。

このVARを利用すれば相手のディフェンスラインをコントロールすることが出来る。

ディフェンスライン裏へ対角線上のロングパス

 例えば4-3-3のシステム(フォーメーション)で考えてみよう。

2列目以降の後列がディフェンスライン裏へロングパスを出す素振りを見せ、合わせてCFW両WG(SH)の誰か二人が相手のディフェンスライン裏へ走る素振りを見せれば良いのだ。

ただ素振りを見せるだけではなく、通らなくても数回パスを出すことで相手の脅威となり、相手のラインをコントロールしやすくなる。

FWかWGが行う相手のラインコントロール

上の図は両WGがラインコントロールを仕掛けている状態。
図ではCBがロングパスを出すイメージになっているが、実際は距離が長くなるほど成功率は下がるため、DMやANCが出すことが多い。

WGのワイドプレイと組み合わせたスペイン代表のゼロトップ戦術

両WGのラインコントロールとCFWのポストプレイ

両WGのラインコントロールとCFWのポストプレイ

 スペイン代表では4-3-3で両WGが常にディフェンスラインを押し下げる役割を担うことがある。(青がスペイン代表、右へ攻撃する。)

両翼のWGがサイドラインいっぱいまで開き、ディフェンスラインのコントロールを行う。

CFWが降りてゼロトップ状態かつ中央でポストプレイの準備をすると、相手CB二人はマークするため上がらざるを得ない(下がったCFWをマークする)。

しかし両WGが裏を狙うので「下がった方が良いのか!?」とジレンマが生じ、中央のCFWか両WGのどちらかが活きることになる。

大抵の場合RCBかLCBのどちらかがCFWへマンツーマンで付くことになる。

 サイドラインいっぱいまで開く理由は、相手にゾーンプレスをさせない(ディフェンスラインにワイドプレイをさせる)ためであり、常に相手のラインコントロールをしながらライン裏を狙うカウンター要員としても機能するのだ。

 CFWまでディフェンスラインに入ると中盤で人数が足りなくなるため、1~1.5列下がってダイヤモンド型の中盤を作るイメージだ。

CFW(中央)に適正のある選手と戦術

 ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウド選手は実際左WG(SH)が多いが、ポストプレイが上手い選手である。

ポストプレイが上手い、もしくは得点能力の高い選手をCFW(中央)に置いた場合、ラインコントロールでディフェンスラインを下げさせて、ディフェンスの手前にスペースを作ることができる。

 日本代表で言えば、本田圭佑、大迫勇也や上田綺世などだろうか。

ただ日本代表の場合は、ゼロトップというよりも両WGとCFWが全員相手ディフェンスライン上に止まり、上図のように1.5列目に落ちてくるような印象はない。

左右のWGに適正のある選手と戦術

 基本的にWG(SH)はドリブルで仕掛けられるアタッカーと言われる人が適任であり、アイソレーションでボールの展開を待つことでその攻撃的特徴を活かすことができる。

その左右のWG(SH)がさらにディフェンス裏への抜け出しが上手くなると相手の脅威になる。

その抜け出しを囮にするような形で相手ディフェンスラインのコントロールがしやすくなる。

相手ディフェンスラインのコントロールの実践

 相手ディフェンスラインのコントロールは試合の中でごく自然と行われているものであり、決して難しい戦術ではなく他の戦術同様にビルドアップからずっと行われる。

高さによって異なる実践方法を紹介する。

【ディフェンシブサード】カウンターにも最適

 ハーフェーラインよりも押し込まれた状態で相手のラインコントロールは出来ないが、ラインの裏を取るのが上手くドリブルが得意な選手であれば、カウンター要員として最適である。

この時は完全にカウンター要員であり、相手ディフェンスを広げるワイドプレイの役割も担う。

ただ最近ではGKからのビルドアップが多く採用されるため、チームによってやり方が異なる。
【参考】GKからのビルドアップとシステム変更

【ミドルサード】スペースが生まれアイソレーションが活きる

 中盤でボールサイドのWG(SH)はポストプレイなどビルドアップに加わることが多いが、もちろん縦も狙える。

CFWや逆サイドのアイソレーションの状態で待つWG(SH)が相手のラインコントロールをして待つ。

両サイドでボールが展開されるパターンでは中央のCFWがディフェンスラインの裏を取る動きをする。

 相手のディフェンスラインの上下を繰り返すと、中央を固めるためにDF間の距離が狭まり、マークを付けて狭めるはずが、逆に広く空くことがある。

そこでさらにアイソレーションでまつWG(SH)たちのドリブルが活きることとなる。

※常にFWの三人が相手のディフェンスラインへ加わると、中盤でビルドアップのための人数が足りなくなるため、最適とは思われない。ただしビルドアップ中に偶然三人が相手ディフェンスラインに加わることは多く、そう見えることはある。

【アタッキングサード】疑似カウンターへつながる

 相手ディフェンスラインのコントロールは、アイソレーションで待つWGへのサイドチェンジ、ライン裏へのセンタリングでも上下させることができる。

 特に4-4-2の守備陣形を採用する相手をバイタルエリア付近まで押し込んだ状態でラインコントロールを加えると、中央を固めるためにフィールドの横いっぱいを守備するようになりサイドにスペースができる。

WGと二列目などでボールを回すと相手のマークが混乱し、乱れることになる。

これらは疑似カウンターそのものであり、相手のラインコントロールとアイソレーションを同時に行うことで相乗効果が生まれ効果的になるのだ。

【参考】疑似カウンターとアイソレーションなど