監督が選手に指示を出すとき、具体的な方が分かりやすい。そこで監督はエリアを指定し「どこのエリアではこういったプレイをすること」と指示を出す。エリア戦術とはフィールドを分割し、各エリアで戦術を明確に分けることを言う。
守備のエリア戦術では「相手の特徴に合わせてどこでボールを奪うのか」と目標を設定する。攻撃のエリア戦術では「どのエリアを中心に、どのエリアを起点に攻撃をするのか」などを設定する。
戦術を語る上では欠かせない各エリアの名称も紹介する。
【攻守で共通するエリア】フィールドの高さと3ゾーンとは
攻撃方向に向かってアタッキングサード、ミドルサード、ディフェンシブサードと分けている。
相手のゴールに近づくほど高い位置、自陣ゴールに近いほど低い位置と言われる。
余り聞いたことは無いが、これら3つのエリアは下記で紹介する5レーンに対し3ゾーンと言われることもある。
GKからのビルドアップは上級のみ!?
サッカーの基礎では「低い位置ほどドリブルはするな!」と教えられることが多く、これは低い位置でボールを失うと、即失点へと結びつくからである。欧州の各プロリーグではトレンド戦術として「GKからパスやドリブルでつなぎ続けるビルドアップ」が行われるが、簡単にできる戦術ではない。
【守備のエリア戦術】バイタルエリアとは
バイタルエリアとは、得点に繋がりやすいプレイエリアを指し、特に「赤色のシュートエリア」と「黄色のセンタリングエリア」のことを言う。
例えばミドルシュートが得意な選手がいれば赤色のエリアは広がり、センタリングが得意な選手がいれば黄色のエリアは広がるなど、バイタルエリアは相手によって変わる。
近年ではバイタルエリアを高さに限らずDMとCBの間のエリアを指す人がいるため、「話し手がどちらを指しているのか」を判断してから話を聞かねば勘違いする可能性がある。(図①で言うと、下二列で中央の四人の間。)
個人的に間違いだと思う理由は、高い位置でそのエリアを”バイタル”エリアと言えるのかどうか疑問だ。
世界でトレンド戦術となった現代のカテナチオ
【攻撃のエリア戦術】
アメフトから始まったデータを下に戦術を変えるデータ戦術だが、主に戦術の奇人ビエルサ氏やグアルディオラ監督が明確な戦術を提案した。
グラウディオラ監督の5レーン理論とは
グラウディオラ監督の5レーン理論は、ビルドアップやボールを保持(キープ、ポゼッション)する時の選手のポジション(ポジショニング)を明確にし、味方同士の距離間を保つための理論である。
グラウディオラ監督の5レーンは嘘!?
戦術の奇人ビエルサ氏のビエルサラインとは
PA内には戦術の奇人ビエルサ氏が提案したビエルサラインというものがある。
PA内の黄色いラインがビエルサラインであり、内側ではゴール確率が85%、それ以外では15%となっている。
グラウディオラ監督の「ポケット侵入」
グラウディオラ監督が考案したポケットと呼ばれるエリアがある。
グラウディオラ監督は奇人ビエルサ氏を意識したのか、このエリアを起点とした戦術を「ポケット侵入」と提言した。
選手に「シュートエリアでもあるがこのエリアを起点とする攻撃の意識」を植え付けることで、確率の低いビエルサラインの外側からのシュートを減らそうとしたのかもしれない。
PA内に入ればプロでも得点を焦りプレイが雑になるものである。
【詳細】ビエルサラインとポケットとは