2024年、サッカー日本代表(18位)は9月5日に中国代表(87位)、11日にバーレーン(80位)と対戦する。ここまで差があると5ー0などの試合展開が予想されるが、得点だけが目的では北中米W杯で勝ち上がることはできない。
※(FIFAランク)は7/18日現在のもの。
【北中米W杯】日本代表の戦術は
日本は経済大国ながらサッカーの本場欧州からは極東と呼ばれ、戦術では後進国となっている。
もはや日本代表のスタメンはほぼ欧州で活躍する選手たちにも関わらず、世界で勝てない理由は本当に戦術のせいなのだろうか。
そこで今回は、今後日本代表が習得するべき戦術と進化が止まった原因を考えてみる。
W杯最終予選は過密日程ではない
過密日程になっている選手はいるだろうが次の試合まで6日もあるため、疲労を考えずに済む。
そのためターンオーバーなど考えずに済み、本番を見据えて戦術を試すことができる。
戦術後進国と言われないためには、トレンドから最先端の戦術を取り入れ、最終的には日本代表の形に昇華させる必要がある。
日本代表の「強み」とは何か
幸いなことに日本は教育レベルが世界有数であり、道徳教育も発達している。そのためオシム監督も言う通り、協調性が強く戦術を連携する意識はどの国よりも高い。
さらにここ最近では欧州でも助っ人として試合ごとにニュースになるレベルの選手が複数在籍し、特にWGやSHの選手の得点能力は歴代の日本代表でも最高だろう。
つまり、全員の連携と個人の能力を組み合わせるスタイルが日本代表の強みとなる。
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日本代表の戦術は今までの積み重ねと進化
戦術の後進国である日本代表がいきなり世界最先端の戦術を取り入れることは、いくら欧州トップクラスで活躍する選手が何人いようとも不可能である。
というのも、日本ではポジショニングの技術が浸透していないのだが、各クラブチームではポジショニングが多少ズレていても各国の名選手がカバーしてくれるため、さほど問題にならないからだ。
そのため日本人しかいなくなる日本代表では、ポジショニングを細かく実践できる選手がいない。
日本代表がベスト8の壁を打ち破れない理由はポジショニングのレベルが低いせいだろう。
では日本代表が選択するべき戦術は何か!?
まずはできる戦術をはっきりと行い、苦手な戦術、複雑な戦術は捨てる。
以下で具体的にしてみよう。
【守備戦術】は『真・カテナチオ』
スペインのパスサッカー「ティキタカ」への対抗策として「改良型カテナチオ」。
「改良型カテナチオ」への対抗策として「ワイドプレイ」が流行した。
ハイプレスはほぼ使われなくなった
中国代表には通用するかもしれないが、欧州上位レベルでは「GKからのビルドアップ」と「ワイドプレイ」が確立された今、カタールW杯の前田大然のようなハイプレスは通用しなくなった。
ハイプレスにいくと守備の中盤ががら空きとなり、一気に広大に開いた自陣へカウンターを決められてしまうのだ。
4-4-2の守備陣形はサイドを狙われる
カテナチオと言えば4-4-2や4-4-1-1の守備陣形を作ったまま、ボールサイドへ押しやりゾーンプレスによりボールを奪取する守備戦術である。
ところが素早いサイドチェンジから逆サイドに開いたバイタルエリアを使われ、マークの変更が行われる前にセンタリングをあげられてしまう。
「改良型カテナチオ」は「真カテナチオ」へ進化
そこで4-4-2から「3-3-1+3」の守備陣形に進化した。
「3-3-1+3」とは、基本の守備陣形で絶対に動かない数字が3-3-1であり、残りの3人が状況に応じて前後左右することで守備陣形が「4-4-2、5-4-1、3-4-3」へと変化する。
- ディフェンスラインは相手より1人多く守る。
相手が1~2トップ(FW一人)であれば3人。
3トップ(CFW一人、WG2人など)であれば4人。 - 残りの3人は相手チームによって変わる。
相手のキーマンが1~2人に対しマンツーマンで付き続けることになる。
キーマンが1人の場合は中盤の4人(3-4-1+2)を基本とし、キーマンへマンツーマンで付く人が前後する。 - 最後はボールへプレスを掛け続ける人が前後する。
これはボールへ一番近い人がプレスを掛けに行き、例えばサイドチェンジをされた場合はマークを離れて近くの列に入り、逆サイドのボールへ近い人がプレスを掛けに行く。
守備中ボールを回されると味方のポジションも入り乱れることになるが、中央をゾーンプレスで固めながら、サイドにもスペースを作らない真カテナチオが完成したのだった。
ラインコントロールの精度
日本代表ではようやく最近ラインコントロールが意識されてきたのだが、本来ラインコントロールはディフェンスラインだけで行うものではない。
3列の守備陣形が一定の距離間を保ったままラインを前後させることで成り立つ。
日本代表では冨安と板倉が成長したことでラインコントロールが成立し始めたように見えるが、SBやDMがついてこれない状況が長く続いている。
世界では真カテナチオへと進化しているのに、日本代表は改良型カテナチオですら出来ないレベルなのだ。
つまり戦術を明確にしていても選手のポジショニングの精度が低いため、戦術を実践しきれていないのだ。
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【攻撃戦術 その1】『エリア戦術』で組織力を底上げ!?
苦手な戦術とは何だろうか?
オシム監督に「日本人は器用である」と言われたことで筆者であるビリーも勘違いしてしまったのか、いつでも対応できると思い込んでいた節がある。
いつも連携が取れなくなったりマークが外れる状況は、流れの中でシステム変更を行う時だった。
日本代表は複雑なシステム変更を得意としないため、SBやWBの上下によりシステム変更を行う程度にした方が単純明快で良いようだ。
「無理なシステム変更は捨てる!」のだ。(できる時はやる。)
【ディフェンシブサード】GKからのビルドアップのシステム
複数ある「GKからのビルドアップのシステム」を習得し、的確に行うこと。
【参照】GKからのビルドアップのシステム(※未完成)
【ミドルサード】ティキタカの日本化
あらゆるポジションからアイソレーションで待つWGやSH、またディフェンスラインの裏をスルーパスで狙う堅守速攻のイメージをもつ。
無理に攻めてボールをロストする(ボールを取られる)のではなく、ボールを下げてでもキープし確実性を高める。
そのためにはボールを持ってない時(オフザボール)の動き(ポジショニング)の精度を高めなければならない。
ポジショニングの目安はグラウディオラ監督のエリア戦術の一つ5レーンが分かりやすいだろう。
【参照】ティキタカとティキタカの日本化とは
【アタッキングサード】疑似カウンター
押し込めた状況でも攻撃の中心はもちろん海外でも活躍するFWたちだ。
ボールとは逆サイドでアイソレーションで待つ疑似カウンターを行い、巻いてシュートやGKとディフェンスラインの間へのセンタリングなど様々なアタックをしてほしい。
【参照】WGたちを活かす「疑似カウンター」とは
【攻撃戦術 その2】『ワイドプレイ』で個人を活かす!?
(未完成の)改良型カテナチオが得意だった日本代表だが、されることには慣れていなかった。ハイプレス、ゾーンプレスを受けると途端にボールが繋がらなくなるため、世界のトレンド戦術であるワイドプレイを行う必要がある。
このワイドプレイは、アタッキングサード以外でずっと行うことになる。
ワイドプレイが日本代表の追い風に!?
このワイドプレイは日本人にとって追い風になると考えている。
今までは「個人で勝てなければ連携だ」と連携だけに執着してきた。
しかしフィジカルや個人技でも世界のトップオブトップではなくてもトップレベルではある。
ワイドプレイであれば、全体の連携の中に個人技を融合しやすくなるのだ。
ワイドプレイは一定以上の距離間を保つこと!
しかしそのためには一定の距離間を保つことが重要である。
元スペイン代表のイニエスタ選手に憧れているのか、一定の距離間を保てずボールへと延々と近づき続ける選手がいるのだが、これをやるとチームのバランスが崩壊する。
ボールを持った選手へ味方が近づくと、マークマンも一緒に近づき、ドリブルやパスを出すコースとスペースが無くなり、結果としてゾーンプレスを敵と一緒に味方へ掛けることになる。
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日本代表の予想システム(おまけ)
前回同様2試合あるので、恐らく4-2-3-1か4-3-3など2チームに分けてほぼ全員をスタメンで使うことになるだろう。
※あくまでも予想であることと、筆者ビリーがクラブチームでの選手を知らないことが問題である…
書き終わって見直したらエース的存在の伊東が入っていない…恐ろしいチーム層になったもんだ。
超攻撃型の3-4-3
このスタメンは招集された中で1試合に限定した最高のメンバーとなるだろう。
ただWBである三笘や堂安がディフェンスラインに加わった時の不安感は拭えない。
上田
中村 久保
三笘 堂安
守田 遠藤
町田 板倉 谷口
GK
4-2-3-1の1チーム目
上田
中村 鎌田 久保
守田 田中
中山 町田 板倉 菅原
GK
4-2-3-1の2チーム目
小川
旗手 南野 堂安
遠藤 田中
中山 望月 板倉 菅原
GK
4-3-3の1チーム目
上田
三笘 久保
守田 鎌田
遠藤
中山 町田 板倉 菅原
GK
4-3-3の2チーム目
小川
中村 堂安
南野 田中
遠藤
中山 谷口 板倉 菅原
GK
森保ジャパンはスタメンの選手がほぼ全員海外で活躍するレベルになった。
ビリーは協調性の強い日本人だけになる代表戦では、戦術さえ整えば各選手が欧州以上に活躍できると信じている。
森保ジャパンの基盤となるチーム戦術がはっきりと決まれば、それぞれの選手に役割が与えられる。
選手は自身に与えられた役割を自覚し、森保ジャパンの戦術の一部としてその役割を果たさなければならない。