岡田監督の「日本人の考える日本人らしい戦術」を目指したはずが、時間の経過とともにいつの間にか変わっていくのだった...
時間の経過とともに変わる岡田監督の戦術
そもそもオシム前監督の戦術を継承するのであればカウンターや速攻が前提となる。
しかし日本人らしく『接近・展開・ 連続・(根性)』を行うと変わり、最終的には「ポゼッションサッカー」に至った。
「ポゼッションサッカー」に至った時点で戦術の中からカウンターなどの速攻はすでに消えていた。
仮にカウンターなど速攻の選択肢はあったとしても、日本代表がポゼッションサッカーをするには足りない技術的要素が幾つもあるのだった。
目指すポゼッションサッカーと岡田監督の誤算
グアルディオラ監督のバルセロナが行うポゼッションサッカーに必要な要素を最低限挙げてみる。
- 正確なパスと正確なトラップ。
ボールを失わないためにはミスを減らす必要がある。 - タイミングを合わせてパスを受けるポジショニング。
ただ待ってボールを受けようとする日本人には苦手なオフザボール。
タイミングを合わせてマークを外し、相手の間に顔を出す技術が全員に必要となる。
※オフザボール…ボールを持ってない時のポジショニングを含めた動きのこと。 - 流動的なポジションの入れ替わり。
追い越したり入れ代わった後はそのポジションの動きをする必要があるのだが、入れ替わりが出来ない。
俗に「入れ代わったポジションに収まる」と表現する。
- ボールの高さにより変型するシステム。
常に相手よりも数的優位を築く必要があるため、ボールの高さによりシステムが変型する必要があるのだが、日本にはサイドバック(SB)が上下する程度の文化しか無い。
例えば4231だったのが、352や343などに変わるなど。 - 数的優位を築くためのラインコントロール
トルシエ監督以降、ラインコントロールの文化が日本から消えてしまった。 - 全体がコンパクトにまとまって動く必要がある。
変型したシステムが間延びしないように全体で一定の距離や幅を保つ必要がある。
最低限これら6つの要素が必要なのだが、日本には1以外の技術が無い。
そのためまさに「日本人らしいポゼッションサッカー」を体現することになる。
2010年 W杯 南アフリカ大会のスタメン
下図では本田がFWの様に見えるが、実際は「大久保、本田、松井」のように並ぶゼロトップと言われるシステムだった。
本田
大久保 松井
遠藤 長谷部
阿部
長友 闘莉王 中澤 駒野
川島
イメージとしては、本田がゼロトップではあるものの流れによって上がる。
加えて遠藤がトップ下まで、長谷部が遠藤と阿部のバランス取り、オシム前監督が言う慎重に守備的なポジションを取る「水運び人」の阿部は不動でシステムの変更をイメージしている。