脳梗塞で倒れたイビチャ・オシム前監督に代わり、代表監督に就任したのが岡田武史氏だった。岡田監督はオシム前監督の意思を受け継ぎ「日本人の特色と特性」を分析し、日本人にあったサッカーをする「戦術の日本化」を日本人なりに目指し、2010年のW杯南アフリカ大会に向かう。
「日本は島国のため世界を知らない」と度々言われるが、「(海外を知らず客観視が出来ない日本人が思う)日本人らしい戦術」はどんな戦術になるのだろうか。
岡田監督の日本人の特色を活かす戦術
オフェンス面で岡田監督は「個人のフィジカル(身体的能力)では劣る日本人が世界と肩を並べるには戦術が必要である。体は小さいが、器用さと俊敏性を合わせれば狭い場所でもボールを回せる。」と分析した。
つまり日本人はスペイン代表やバルセロナのようにボール保持率を上げる「ポゼッションサッカー」に適正がある、出来る可能性があると考えたのだ。
デフェンス面では「個で勝てなければ、一人に対して二人以上でディフェンスするなど人数を掛ける。」これも中長距離が得意なアジア人が、走る距離を伸ばすことでなし得る戦術だ。
この時点で数的優位という言葉が出たのだが、結局『根性』が戦術の要(かなめ)のようで、システム変更など戦術的に数的有利を作ろうとしているわけではない。
岡田監督のスローガン
サッカー岡田ジャパンのスローガンとして『接近・展開・ 連続・(根性)』を掲げて挑戦が始まったのだ。
岡田ジャパンの隠れたスローガン『根性』は、まさに「日本人からみた日本人らしい戦術」であり、先が見えたような気がした。
戦術『根性』には限界がある
しかし戦術『根性』には限界がある。
代表選手は1試合の走行距離で平均10km以上を走るのだが、いくら黄色人種が中長距離が得意とは言え全員が何kmも伸ばせたものではない。
さらに中長距離を伸ばせば短距離を走る瞬発力は消えることになる。
バルセロナのポゼッションサッカー
現代でポゼッションサッカーと言えば、グアルディオラ監督のバルセロナだ。
グアルディオラ監督の戦術は、メッシ以外は浮き球によるパスとロングパスの禁止を徹底した。
また中盤だろうが前線だろうが、確実なチャンスを作れるまではパスを回し続けたのだ。
日本人とスペイン人の体型は似ている
ヨーロッパでもバルセロナは比較的小柄な選手が多く、メッシ、イニエスタ、シャビなど活躍する選手は日本人と体型が似ている。
(でも、当然ながら顔は似ても似つかないほど濃い。特にシャビ。)
それが理由となり、岡田監督はオシム前監督の「特性と特色」にポゼッションを加えようとしたのだった。