ラインコントロールとは、簡単に言うとディフェンスライン(守備の最終ライン)の高さを調整する守備戦術のこと。状況に応じてディフェンスラインを上下させると、相手チームは攻撃がしにくくなる。
- ラインコントロールとは、ディフェンスラインを上下させること。
- オフサイドトラップとは、相手選手を意図的にオフサイドポジションに配置させて無力化させる守備戦術のこと。
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ラインコントロールは常に行う戦術
ラインコントロールは攻守で常に行われる戦術であり、システム(選手の並び)全体の高さや選手間の幅などを決める大切な概念であるため、戦術の根底と言える。
上図で上方向に向かって攻めることを考えよう。
右側の大きな矢印が全体の高さ、縦と横の小さい矢印が選手の幅を意味する。
必ずしもそうではないが、この選手間の幅と全体の動き、バランスが常に安定していると、戦術的に良い動きと言える。
ラインコントロールは全体で行う
ラインコントロールはディフェンスライン(守備の最終ライン)だけだと効果的にはならない。全体で選手の距離を一定に保つことでゾーンプレスと組み合わせることができ、全体で上下をすることでより一層効果的になる。
【参照】守備のエリア戦術「ゾーンプレス」とは
フィールド(ポジション)の高さと名称
エリア戦術では特にフィールドを三分割し、図の右側のように呼ぶことがある。
攻守においてミドルサードでバランスを取ることが多く、ラインコントロールもこの高さで行えれば安定していると考えられることが多い。
写真はW杯カタール大会の「アメリカ対ウェールズ」で、攻守においてお互いがラインコントロールを行いミドルサードに収まった一幕。
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トルシエ監督のラインコントロールとオフサイドトラップ
オフサイドトラップとは、ディフェンスラインを上下させることで相手選手を意図的にオフサイドに掛ける、言わばオフサイドのルールを活用した守備戦術だ。
守備戦術は常にマンツーマンの文化しか無かった日本だが、2002年日韓共催W杯に向けトルシエ監督はラインコントロールとオフサイドトラップの戦術を導入した。
オフサイドトラップの解説①
以下の図で説明する。
トルシエ監督の代名詞オフサイドトラップでは、ディフェンダー(DF)が3人のフラット3が主流である。
相手(黄色)チームは、図の上から下に向かって攻める。
日本代表(青色)は、下から上に向かって攻める。
図は日本代表がディフェンスをしているときの状況。
例えば相手チームのセンターサークル付近に居る選手(黄色)が、青色線の下に走っている選手へパスを出そうとしている。
青線手前から下に走る黄色:「ラインの下に走るよ」
センターサークル付近の黄色:「パス出すよ!」
ここでパスが通ればスルーパスが完成するのだが、
パスを出される直前にディフェンスライン(青線)の日本代表3人がオフサイドトラップを仕掛けるためにラインを上げる。
日本代表DF(フラット3):「ディフェンスライン上げてやんよ!」
オフサイドトラップの解説②
すると走っていた黄色の選手はいつの間にかオフサイドポジションにいるのだ。
青線手前から下に走る黄色:「えっ!?いつの間にかオフサイドポジションだ!」
日本代表DF(フラット3):「ヒャッハー!オフサイドに引っ掛けたぜ!」
センターサークル付近の黄色:「俺のせいじゃない!アイツが悪いんだ!」
と言った流れになるのだ。
オフサイドは「パスなどボールを蹴った瞬間このオフサイドラインより下にいる状態で成立する」理解しづらいと初心者泣かせのルールである。
ちなみにオフサイドの判定はサイドラインを走る副審(線審)が目視で行うので、試合がひっくり返ることが多々ある。
ラインコントロールとオフサイド
このディフェンスラインのコントロールをラインコントロール、相手を意図的にオフサイドにする守備戦術をオフサイドトラップという。
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オフサイドのルールが変更され混乱するサッカー界
オフサイドになっている選手のいる位置をオフサイドポジションと言うのだが、相手チームの誰がオフサイドポジションにいても、オフサイドの判定となる。
しかし2005年にオフサイドのルールが「オフサイドポジションにいて、かつプレイに関与する場合に限りオフサイドを適用する」と変更されサッカー界を混乱の渦に巻き込んだのだ。
オフサイドが止める人
今までオフサイドのルールは「裏へ走る相手選手」と「サッカーを好きになろうとするがオフサイドを理解できない者」を止めてきた。
しかしルール変更以降は「裏へ走りプレイに関与する相手選手」と「サッカーを好きになろうとするがオフサイドを理解できない者」、そして新たに「ルール変更を理解できないサッカー経験者」すら止めることになったのである。