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前回ソサイチチームとの練習試合から戦術を分析したのだが、実践していた戦術は古かったようだ。現在のトレンド戦術はGKをフィールドプレイヤーとして追加するのは、人数が加わっていく途中での状態だけになったようだ。
またキングスリーグや、大会ごとなどでルールを変更することが割と多いので、それに合わせて戦術も変化するのだろう。
結果を先に言うと、数的有利を作ることが出来ないシステムを作るため、終始イタリアに押し込まれる試合展開となった。
冒頭で話した通り、GKがフィールドプレイヤーに加わるのかと思っていたが、ほぼ加わらなかった。
また前回の第1回大会同様、日本代表選手は滑る選手が続出。何故だろうか…この理由を本人たちに聞いてみたい。
▶日本代表(Murash FC)の練習試合の戦術分析
※先にリンク先を読んでもらえると話が分かりやすいと思う。
数的有利はポジションチェンジとシステム変更で作る
物理的に数的有利を作るには、サッカー同様にシステム変更を行わなければならない。システム変更には選手全員がいる位置を変えるのだが、Murash FCの選手だけではなく日本にポジショニングの文化がないため、数的有利を作ることができない。
上記動画の06:45から試合開始。
戦術分析を個人のポジショニングと全体のシステム変更に絞って解説する。
※下記は、「動画時間(試合時間)」で表示。
11:49(05:00 )7人(GK+6人)になる
日本代表は守備陣形を2-4で構えるカテナチオ。
イタリアのサイドのプレイヤーにマンツーマンで付つくため、流動的に3-3に変形することもある。
日本代表は練習試合でPA前まで下がり、相手陣地を空けてそこへカウンターを決める堅守速攻のスタイル。
現状で押し込まれているように見えるが、これは作戦通り。
またフィジカル(体格や筋力、速さなど)で負けていないことも分かる。
ここまで見ていて、「ラインコントロールが無いので押し込まれたままなのかな?」とも思うが、開幕戦でド緊張する中、体は思い通りに動かないだろう。
▶数的有利を作るためのラインコントロールとは
13:21(06:31)ようやく日本代表の攻撃が始まる
サッカー同様にGKを中心に両サイドへフィールドプレイヤーが広がる。
●◎
◯● ●◉ ●◯
◯● ●◯
GK
GKからのビルドアップではこの様なシステムを作る。
◎縣翔平選手(CFWがポストプレイ役として固定)
◉中川貴晴選手(◎が落としたボールを動かす役)
7人が出揃って最初のプレイだが、全員緊張しているためなのかパスが通らない。
13:35(06:45)イタリア代表のビルドアップと日本代表のカテナチオ
日本代表がPAまで下がるので、簡単に上がることができる。
GKがフィールドプレイヤーに加わるビルドアップを行わないのであれば、最初からPAまで下がって始める守備は不利になるハズ。
図は、06:58(動画時間13:47)のシステム。
※◯が日本代表、●がイタリア代表選手。
◯ ◯● ◯ ◯
◉◎ ◯ ●
●
● ● ●
GK
サイドの◉にボールが入ると、◎が中を切り(中切り)ながら◯と2対1の袋小路へと追い込む。
13:58(07:09)ロングキック戦術
日本代表はGKからビルドアップを行わず、CFWの縣翔平選手にロングキックを入れて単純に攻める戦術を採用。各選手のポジショニングとシステム変更が苦手な日本代表は割り切った戦術とも言える。
一定の距離間を保たねばゾーンプレスを受ける
サッカー同様に選手の距離間を保たねば、自分(+自分のマーク)が味方にゾーンプレスを掛けることになる。
一人が近寄ることで遠くなる選手もいるため、パスワークが作れずに乱れることになる。
▶数的有利でボールを奪う戦術の「ゾーンプレス」とは
14:04(07:14)味方同士の距離間が近い
ボールを取ったと思った瞬間、ボールをキープし展開できるように広がらなければならないのだが、再びボールを奪われカウンターを受けることを恐れて広がることが出来ない。
14:15(07:25)GKからビルドアップを試みるが…
●◎
◯● ●◯
●◉
◯● ●◯
GK
日本代表は◎縣翔平選手が固定で、◉が中央で上下左右に動いてボールを動かす役割だと思われる。
試合を見ればすぐに分かるのだが、日本代表はポジションチェンジをしながらのビルドアップが苦手である。
14:23(07:33)抜けずに近寄る選手
●◎
◯● ●◯
●
◯● ◉ ●◯
GK
◉(14山田樹選手)がボールを左◯に出して、縦(中央)へ抜け、右◯が◉の抜けた中央へ寄り、右◯が右◯の抜けたところへ入るか展開で決めるべき状況である。
●◎
◯● ● ●
◉ ◯
◯● ◯● .
GK
これがポジションチェンジによるシステム変更であるのだが、右◯の選手が抜けずに近寄ってしまうのだ。
近寄ることで味方とマークマンのゾーンプレスが完成し、GKへ再びボールを返す展開となる。
14:32(07:42)右サイドで渦の動き
ポジションチェンジやシステム変更が苦手な日本代表だが、全員が出来ないわけではない。右サイドの縦関係の選手(19と8)が入れ替わる渦の動きを行うことで、マークをズラしたり、剥がす動きができる選手もいるようだ。
動画を見れば分かるのだが、本来は渦の動きを行い、中央に空いたスペースへ「14:23(07:33)抜けずに近寄る選手」の◉が入り込む、もしくは逆サイドの左WGが入ってこなければならない。
●◎
●◯→ ●◯
● ◯
◯● ◉ ●
GK
◎縣翔平選手を固定する以上は、これらどれかのポジショニングを行うべきだろう。
試合展開を見る限り、「中央に誰が入って誰がボールを動かして、空いたスペースに誰が走り込んで、どのようにポジションをズレて入れ替わるのか」が話し合われていない。
ポジションチェンジとシステム変更でビルドアップの差が歴然となる
イタリア代表を見ても分かる通り海外では精度に差はあるものの、ポジショニングの文化が定着しているので自然と行われていることが分かるだろう。
イタリアはファールをしてすぐに止めればロングキックしか選択肢のない日本代表からボールを簡単に奪えることになる。
日本代表はPA前のカテナチオとカウンターに割り切る
試合展開を見れば分かる通り、入れ替わる動きができる選手が少ない。本来は連携して入れ替わりマークをズラしたり剥がしたり、相手を混乱させてフリーを作り、シュートまで狙うのが理想である。
しかし日本代表は無理にビルドアップをせず、ゴール前に放り込むパワープレイのように割り切った戦術を採用。出来ないのであれば割り切る、これはこれで良いのだろうと思う。
守備を突破するためのポジションチェンジとは
味方と入れ替わるポジションチェンジが必要であり、それはシステム変更でもある。
CFWを固定するシステムがトレンドなのかも知れないが、時には崩すことも有効なのかも知れない。
というのも、日本代表は中央の空いたスペースに誰も入ってこないためにビルドアップが成り立たず、中央から左右へ展開することが出来ないので、相手を押し込むことができなかった。
19:40(12:08)日本代表のビルドアップ
重複するが、最終ラインの真ん中からボールを左右に展開して抜けないので、ボールを動かせない。
19:52(12:20)、74(中村駿介)がボールを右WG8(小田崚平)へパスし、中央へ抜けないので後ろの14(山田樹)と重なる。
フットサルのエイト(∞:無限の文字)やサッカーの渦の動きで「出したら抜ける」が非常に参考になるのだが、これが出来ないために味方同士で重なり、数的不利を自分たちから作っている状況だ。
日本代表はポジションチェンジとシステム変更が苦手だと割り切り、はっきりとロングボールで前線へと放り込む攻撃戦術を採用した。終始開催国のイタリア代表に押し込まれ続けてはいたが、しっかりと勝利をもぎ取り、次戦へ有利な状況で進めた。
綺麗な戦術を見せに行ったわけではないので、勝つことを優先させるべきだろう。