日本国内でのソサイチチームとの対戦では簡単なビルドアップとGKを上げる戦術を見せていた。しかしイタリア入りするとその戦術が古かったのか、通用しなかった。そこでラウンド1(第1戦)のイタリア戦ではロングボールとカウンター戦術を採用し、勝つことができた。
果たしてアルゼンチン戦では・・・
【これまでの戦術分析】
以下の2つを読んでもらうと話が通じやすくなります。
・日本国内でソサイチチームと練習試合
・ラウンド1 イタリア代表戦
イタリア戦の戦術分析:勝つために優先するべき戦術とは何か!?
ソサイチチームとの練習試合後に、ハイプレスが必要だと主張する選手がいた。
ラウンド1のイタリア戦では、2000年前後のサッカーイタリア代表のカテナチオの様に最初からPA前まで下がる守備戦術を行い見事勝利をした。
このアルゼンチン戦では、ハイプレスとまではいかないが、中盤での守備が求められるような展開が見られた。
11:53(05:00)フィールドの6人が出揃う
12:20(05:20)日本代表の最初のビルドアップ
定石としては左右へパスを出し中央へ抜けるのだが、中央最後尾で74中村駿介選手がボールを受け、中央トップの7縣翔平選手へポストプレイを行う。
74中村駿介選手が左右へボールを出さずボールを後ろで持ち続けるので、周囲が動けず、フットサルのエイトやサッカーの渦の動きなどの動きが出来ない。
12:41(05:47)から味方と重なる動きが顕著になる
17森保翔平選手にパスをするのではなく、ドリブルで向かっていってしまう。
ドリブルをしていったその先には26圓乘健介選手がおり、味方二人と重なる動きをしてしまう。
12:49(05:56)抜けるのではなく下がる
もちろんチームによって異なるが、フットサルやソサイチでの定石的な戦術では、パスを出したら抜ける動きをすることで相手のマークがズレたり、はがれたりする。
74中村駿介選手が抜けずにそのまま戻ることで相手は守備陣形の二列を崩さず作り続ける事ができる。
12:56(06:03)大事なところが映らない
加藤純一氏の画面に切り替わったことで重要な場面が映っていないため、詳しくは分からない。
左サイド最後尾でボールを持った74中村駿介選手が中央へ戻り、右サイドへパスを出すのだが、その後前に走らないために中央に人がおらず、13:06(06:13)右サイド最後尾の14山田樹選手はボールの出しどころがない。
中央トップの7縣翔平選手が下がってきても良いのだろうが、中央トップで固定の戦術を採用しているようだ。
13:11(06:16)を見れば分かる通り、GKと74中村駿介選手が重なった状態で中央に人が誰も居ない。
74中村駿介選手が走る素振りだけ見せるが、何故か止まってしまう。
日本代表のビルドアップを止めているのは、74中村駿介選手のポジショニングだろう。
13:25(06:31)味方に向かうドリブルと寄るポジショニング
当サイトでは味方に寄るポジショニングをイニエスタ化と読んでいるのだが、このイニエスタ化はドリブルが好きな人の特徴として見られる。
右サイドへパスを出した後、アルゼンチン選手の間に走り込むのではなく、何故かパスを出した14山田樹選手?の方へ直線的に走っていく。
アルゼンチン選手と中村駿介選手合わせて三人の壁ができたことで、逆サイドにいる選手へ下げることしかできなくなる。
アルゼンチン戦では終始この動きの繰り返しのため、ビルドアップが出来なかった。
ビルドアップの改善策は『左右でのローテーション』
最も基礎的な陣形でビルドアップ戦術を考える。
◎が左ローテーション、◉が右ローテーション、●がアルゼンチン、・がボールとする。
●◎
◎● ●◉
●
◎● ・◉ ●◉
GK
右ローテーションでドリブルをしながら中に入ってきた・◉が左にパスを出し、中央を駆け上がる。
これを左右のローテーションで繰り返すだけなのだが、出来なかった。
(動画参照のこと。)
14:45(07:51)フォローに間を取れないポジショニング
左サイドからドリブルで仕掛けた選手を見ているだけでフォローでは寄れないため、味方の数的不利(実質3対1)の状況を作られる。
距離間をそれなりに保ったまま、14:52(07:58)に出したパスの場所(カットするアルゼンチン選手の前)に居なければならなかった。
74中村駿介選手のポジショニングを指摘してばかりで申し訳ないが、中央の底がいかに重要かが分かるだろう。
日本代表の守備戦術のカテナチオの問題
日本代表は守備時にカウンターを避けるため、PA前まで無条件で下がる。
相手は最後尾と中盤でのビルドアップの駆け引きが一、二つ減ることになる。
GKがフィールドプレイヤーとしてカウントできる位置(アタッキングサード)で守備を掛けるハイプレスまでやる必要は無いと思うが、ミドルサード(センターサークル付近)すらも簡単に明け渡すほど下がる守備陣形が適しているのだろうか?
キングスW杯でもラインコントロールが必要になる
マンツーマンでのゾーンディフェンスでは味方同士の距離間が広がり、ドリブラーがいれば簡単に中央へ侵入されてしまうだろう。
しかしラインコントロールで適度な高さを保つことができれば、ミドルサードでも相手にプレッシャーを掛けることができる、簡単にはシュートチャンスにまで回させないようにできるかも知れない。
この見本がアルゼンチンである。
アルゼンチンが日本代表に対して行っているミドルサードでの守備戦術を、日本も徹底して行うべきだ。
15:15(08:22)4-2の守備列の弱点
サッカーの守備列4-4-2同様に、4-2の守備列にはサイドにできるスペースが弱点となる。4-2列ではサイドに空いたスペースに居る相手選手にはマンツーマンで付く定石があるのだが、この時はマンツーマンを外してしまった。
そこへPAのラインで固定して守る日本代表のディフェンスラインとGKの間を使われてしまい、先制点を許した。
引いて守る戦術は格好の餌食(えじき)!?
ビルドアップでプレスを掛けずに最初から引いて守る守備的なチームの場合、アルゼンチンやブラジルなど特に攻撃が得意なチームにとっては最後シュートを打つためだけの崩しになるため、格好の餌食になるのかもしれない。
ハイプレスまでは必要ないが、ラインコントロールとミドルサードでのプレスは必要になるのかも知れない。