
北中米ワールドカップのラウンド32で、日本代表はブラジル代表と対戦しました。結果は日本 1-2 ブラジル。前半に佐野海舟のゴールで先制しながら、後半にカゼミーロ、そしてアディショナルタイムのガブリエル・マルティネッリに決められ、あと一歩のところで歴史的勝利を逃しました。
ただ、この試合は単なる「惜敗」では片づけにくい内容でした。日本は前半、ブラジルの攻撃をかなり制限し、世界最多優勝国であるブラジルを本気で苦しめました。一方で、後半に入るとブラジルが配置や攻撃の方向性を変え、日本は徐々に押し込まれていきます。
この記事では、日本対ブラジルの評価を、日本メディア、ブラジルメディア、その他各国有名メディアに分けて整理し、そのうえで森保ジャパンの戦術的課題を考えていきます。
この記事で分かること
- 日本メディアが見たブラジル戦の評価
- ブラジルメディアが感じた日本代表の脅威
- 欧州・南米・英語圏メディアが見た試合のポイント
- 森保ジャパンの戦術的課題
- ラインコントロール、疑似カウンター、ビルドアップの問題点
日本対ブラジルは「惜敗」か「差を見せられた試合」か
日本代表は3-4-2-1をベースに、前線からのプレスとコンパクトな守備でブラジルに対抗しました。特に前半は、ブラジルにボールを持たれる時間こそ長かったものの、決定機を多く作らせず、日本の狙いがかなり出ていた時間帯だったと言えます。
先制点も、日本らしい守備から攻撃への切り替えでした。佐野海舟が中央でボールを奪い、そのまま持ち運んでミドルシュート。ブラジル相手に「待つだけ」ではなく、奪った瞬間に前へ出る姿勢を示したゴールでした。
一方で後半は、ブラジルが攻撃の形を変えてきます。サイドからのクロス、ボックス内への人数のかけ方、交代選手の投入によって、日本は守備対応を少しずつ後手に回されました。つまりこの試合は、日本が世界トップに近づいたことを示した試合であると同時に、試合中の修正力と最後の一刺しでブラジルに上回られた試合でもありました。
- 前半:日本の守備設計とカウンターが機能
- 後半:ブラジルが配置と攻撃方法を修正
- 終盤:延長目前で日本が痛恨の失点
- 総評:日本の成長は明確。ただし勝ち切るにはもう一段階必要
日本・ブラジル・各国メディアの評価まとめ
日本メディアの評価:成長は示したが、またも決勝トーナメントの壁
日本メディアの評価で目立つのは、「王国ブラジルを苦しめた」という手応えと、「またしても決勝トーナメント初戦を突破できなかった」という喪失感の両方です。
特に注目されたのは、前半の日本の守備です。ブラジルにボールを保持されながらも、中央を簡単には割らせず、ヴィニシウス・ジュニオールらの個人技にも粘り強く対応しました。前線からのプレス、5バック気味に下がった時のブロック、奪ってからの速攻という流れは、日本が積み上げてきた戦い方を示すものでした。
一方で、後半にブラジルが攻撃を修正してからは、日本の対応が難しくなりました。クロスの本数を増やされ、ボックス内での競り合いが増え、カゼミーロの同点弾につながります。そして最後は、アディショナルタイムに一瞬の隙を突かれて逆転を許しました。
日本メディアの主な見方
- 佐野海舟の先制点は、日本の成長を象徴するゴールだった
- 前半の守備とプレスはブラジル相手にも十分通用した
- 後半の修正対応では、まだ世界トップとの差が出た
- 決勝トーナメント初戦の壁をまた越えられなかった
日本側の報道は、悲観一色ではありません。むしろ「ブラジル相手にここまでできた」という評価はかなり大きいです。ただし、勝ち切れなかった以上、最後の時間帯の守備、交代策、ボール保持で相手の流れを切る力は、今後の大きな課題として残りました。
ブラジルメディアの評価:勝利よりも「苦戦」と「後半修正」に注目
ブラジルメディアの評価は、勝利を喜びながらも、内容にはかなり慎重です。大きな論点は、「ブラジルは日本にかなり苦しめられた」という点でした。
前半のブラジルは、日本のコンパクトな守備と素早い寄せに苦しみました。特に、日本が先制した場面は、ブラジル側のミスを日本が逃さなかった形です。ブラジルメディアから見れば、これは単なる偶然ではなく、日本の守備強度と切り替えの速さが生んだゴールだったと言えます。
ただし後半になると、ブラジルは明らかに攻撃の圧力を強めました。アンチェロッティ監督は、サイド攻撃やクロス、前線の枚数を増やす形で日本を押し込みます。結果的にカゼミーロの同点弾、マルティネッリの決勝点につながり、ブラジルメディアは「苦しみながらも勝ち切る力」を評価しました。
ブラジルメディアの主な見方
- 日本は組織的で、非常に厄介な相手だった
- ブラジルは前半、攻撃の形を作れず苦しんだ
- 後半の修正で試合の流れを変えた
- マルティネッリの投入と決勝点が勝負を決めた
- 勝利したが、優勝を狙うには改善が必要
ブラジル側から見ると、この試合は「余裕の勝利」ではありません。むしろ、日本に先制され、終盤まで追い込まれたことで、ブラジル代表の課題も浮き彫りになりました。それでも最後に勝ち切ったところに、王国ブラジルの底力があります。
その他各国有名メディアの評価:日本を称賛しつつ、ブラジルには厳しい目
欧州、南米、英語圏の有名メディアでは、日本への評価とブラジルへの評価がかなり対照的でした。日本については、「勇敢だった」「組織的だった」「前半はブラジルを上回る時間もあった」という評価が目立ちます。
一方でブラジルに対しては、勝利したにもかかわらず厳しい評価も多く見られました。特に欧州メディアでは、前半のブラジルについて「攻撃が単調」「中盤と守備に不安」「日本に攻略されかけた」といった見方が出ています。
Guardianは、日本が前半にブラジルを苦しめた点を評価しつつ、後半はアンチェロッティ監督の修正で流れが変わったと見ています。Reutersも、日本が前半にブラジルの攻撃を封じた一方で、後半はブラジルがテンポを上げて押し込んだと整理しています。
また、L’ÉquipeやOléなどの海外メディアは、ブラジルが勝ったことよりも「勝ち方」に注目しました。つまり、ブラジルは勝利したものの、優勝候補としてはまだ不安が残るという評価です。
各国メディアの主な見方
- 日本はブラジルを本気で追い詰めた
- 前半の日本は組織力、守備強度、切り替えで高評価
- ブラジルは勝ったが、内容には改善点が多い
- アンチェロッティ監督の後半修正が勝敗を分けた
- 日本は敗退したが、国際的な評価は高まった
全体として、海外メディアは日本を「善戦した敗者」としてだけ見ているわけではありません。むしろ、ブラジルに対して本気の修正を迫ったチームとして評価しています。その意味では、この試合は日本サッカーが世界の強豪国から警戒される段階に入ったことを示す一戦だったとも言えます。
メディア評価から見えた日本代表の現在地
日本対ブラジルの評価を整理すると、共通しているのは「日本は強くなった。しかし、まだ勝ち切る力には差がある」という見方です。
日本は、ブラジル相手にも前半は互角以上に戦える時間を作りました。守備の連動、前線からのプレス、奪ってからの速攻は、世界トップレベルにも通用する場面がありました。これは大きな収穫です。
しかし、後半に相手が修正してきた時、試合の流れをもう一度引き戻すことはできませんでした。特に、押し込まれた時間帯にボールを保持して相手の勢いを止める力、交代によって再び前への推進力を出す力、そして終了間際の集中力は、ベスト8以上を目指すなら避けて通れない課題です。
- 試合中の修正力:相手が形を変えた時に、こちらも対応を早めたい
- 押し込まれた時の保持:守るだけでなく、ボールを持って時間を作る力が必要
- 終盤のゲーム管理:延長目前の失点をどう防ぐか
- 勝ち切るメンタリティ:善戦で終わらず、勝利まで持っていく力
それでも、このブラジル戦は日本代表にとって価値のある試合でした。ブラジル相手に先制し、各国メディアからも組織力や粘り強さを評価されたからです。
ただし、「惜しかった」「ブラジルを苦しめた」で終わらせてよい試合だったとは思いません。筆者ビリーの見方では、この試合は日本代表の成長を示した一方で、戦術的にはかなり大きな課題が見えた一戦でした。
海外メディアの称賛をそのまま受け取ってよいのか
ここまで各国メディアの評価を見てきました。日本代表はブラジル相手に先制し、終盤まで粘りました。そのため、日本の健闘を称える声や、ブラジルを苦しめたという評価が多く出るのは自然なことだと思います。
ただ、筆者ビリーの見方は少し違います。各国メディアの評価を見ていると、日本を本気で強豪国として評価しているというより、「ブラジルが日本相手にここまで苦しんだこと」を問題視しているようにも感じました。
もちろん、日本代表が成長していることは間違いありません。しかし、この試合を「ブラジルを苦しめたから良かった」とだけ評価してしまうと、より大きな課題を見落としてしまうのではないでしょうか。
個人的には、このブラジル戦の日本代表の戦術にはかなり違和感がありました。特に気になったのは、本来攻撃に使うべき体力を、守備のプレスに使い続けてしまったことです。
問題は、日本代表が守備的に戦ったこと自体ではありません。問題は、ラインコントロールとボール保持の構造が弱く、結果として「引いて守らざるを得ない状態」になっていたことです。
ビリーが推奨していた疑似カウンターとは何か
筆者ビリーは、ブラジル戦では単純に引いて守り続けるのではなく、相手陣地内でボールを保持しながらチャンスを狙う形が必要だと考えていました。
ここでいう疑似カウンターとは、自陣深くで守ってから一気に速攻する通常のカウンターではありません。相手陣地内でボールを保持し、左右にボールを動かしながら相手の守備をずらし、そのズレた瞬間に縦へ入る攻撃のことです。
相手陣地内でボールを持てれば、日本の守備時間を減らすことができます。守備で走らされる時間を減らし、攻撃に体力を残すこともできます。ブラジルのような個の力がある相手に対して、ただ守って耐えるだけでは、時間が経つほど日本の体力が削られてしまいます。
疑似カウンターの狙い
- 相手陣地内でボールを保持する
- 左右にボールを動かして相手守備をずらす
- ズレた瞬間に縦へ入る
- 守備時間を減らし、攻撃に体力を残す
そのため、私は試合前から、日本は相手陣地内でボールを動かし、ブラジルの守備を左右に揺さぶる必要があると考えていました。
皮肉にもアンチェロッティ監督がそれを実践した
しかし、実際にその形を試合の中で実践したのは、日本代表ではなくブラジル代表でした。
後半のブラジルは、ただ個人技で突破するだけではなく、ボールを左右に動かしながら日本の守備を揺さぶりました。日本の守備ブロックを動かし、サイドを使い、ボックス内に人数をかけることで、少しずつ日本を押し込んでいきました。
これは、まさに日本がやるべきだった攻撃に近い形です。皮肉なことに、ビリーが日本代表に必要だと考えていた戦術を、ブラジルのアンチェロッティ監督が終始実践したように見えました。
つまりこの試合は、日本がブラジルに対して疑似カウンターを仕掛ける試合ではなく、ブラジルに日本がやりたかった形をやられてしまった試合だったとも言えます。
日本代表が実践できなかった原因はラインコントロールにある
では、なぜ日本代表は相手陣地内でボールを保持し、疑似カウンターを仕掛けることができなかったのでしょうか。
その大きな原因は、ラインコントロールにあったと分析しています。日本代表は5バック気味に守る時間が長くなりましたが、ただ後ろの枚数を増やすだけでは守備は安定しません。
重要なのは、ディフェンスラインを上げ下げしながら、ボールホルダーに対してどこで数的有利を作るかです。ラインを下げるだけでは、相手に前進するスペースと時間を与えてしまいます。
結果として、日本はボールホルダーに対して一人ずつ後ろからプレスに出ては戻る形になり、守備で体力を削られていきました。
つまり、日本は「守備的に構えた」のではなく、ラインコントロールがうまくいかず、押し込まれ続けたように見えました。
誰かがボールホルダーに対してプレスに行った時、同じスピードとまでは行かないにしても、ディフェンスラインを上げる必要があるのに、上げなかったことが一際目立ちました。
ディフェンスラインを下げると数的有利は作れない
日本のディフェンスラインの裏へロングボールを入れられることを警戒し、ペナルティエリア手前までラインを下げるべきだという見方もありました。
もちろん、ヴィニシウス・ジュニオールやマルティネッリのようなスピードのある選手に裏を取られれば、一気に決定機になるため、その考え方自体は理解できます。
しかし、ラインを下げたら守備が安定するわけではありません。ラインを下げすぎると、相手に前進するスペースを与え、こちらはボールホルダーへ出ていく距離が長くなります。
ラインコントロールができないと走る距離が伸びる原理
本来、守備ブロックはラインコントロールを行い、数的有利を作りながらセンターサークルより少し下がった位置で構えるべきだったと考えています。
本来は、最終ラインをPA前15〜20m付近に設定し、相手FWをオフサイドポジションに置きながら、前線と中盤が連動してボールホルダーへ圧力をかける形が理想でした。
上田
前田 鎌田 佐野 伊東
中村 伊藤 谷口 冨安 堂安
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│ 鈴木彩艶 │
しかし実際には、最終ラインがPA前5〜10m付近まで下がり、日本代表はかなり低い位置で守る時間が長くなりました。
上田
前田 鎌田 佐野 伊東
中村 伊藤 谷口 冨安 堂安
┌──────────────────────┐
│ 鈴木彩艶 │
まず、相手FWをオフサイドポジションに置かず、自らラインを下げてしまうと、相手は簡単にボールを前に運べます。PA付近まで押し込まれれば、ブラジルのFWはライン裏を狙いにくくなりますが、その代わり日本はラインコントロール自体が難しくなり、身動きが取れなくなります。
さらに5バックになることで、センターサークルとPA間で味方同士の距離が広がり、ボールホルダーへプレスをかける距離が縦に長くなります。その結果、選手は何度も長い距離を走らされ、攻撃に使うはずの体力を守備で消耗してしまいます。
ラインを下げすぎた時に起こる問題
- 相手に前進するスペースを与える
- ボールホルダーへ出ていく距離が長くなる
- 守備で走る距離が増える
- 攻撃に使う体力が残りにくくなる
- 奪っても前に人数が少なく、攻撃が単発になりやすい
4-4-2、5-4-1、3-4-3+3のような守備陣形は、FWをオフサイドポジションに置くラインコントロールがあって初めて成立します。本来はディフェンスラインを下げるか上げるかだけではなく、どの高さにディフェンスラインを設定し、どこに追い込んで数的有利を作るのかが重要ですが、この試合ではその意識が見えませんでした。
解説で気になったライン設定の考え方
本田圭佑氏や林陵平氏の解説を聞いていても、背後のリスクを避けるためにラインを下げるという発想はありましたが、ラインコントロールによって数的有利を作る視点はあまり強く感じませんでした。
まるで日本代表の戦術認識が、カタールW杯以前の「マンツーマンで走って守る」「個々が頑張って対応する」感覚に戻ったように見えました。
臨時コーチを呼んだ頃から見えた違和感
伊藤、冨安、板倉が並んだ頃からラインコントロールが始まり、伊藤、谷口、渡辺などに変わってからも、谷口がやや下がり気味ではあるものの、改善傾向にはあるように見えていました。
ただ、明確に断定することはできませんが、ラインコントロールの甘さと違和感は、吉田麻也氏を臨時コーチに呼んだ頃から強くなったように感じます。
日本代表の守備が、ライン全体で相手を制限するというより、個々が相手についていき、最後は走って対応する形に寄っているように見える場面はありました。
この形になると、日本の選手は守備で多くの体力を使うことになります。
欧州や南米の強豪相手に勝つためには、日本の運動量を攻撃にも使わなければなりません。
守備で走らされ続ける展開になれば、後半に攻撃へ出ていく力はどうしても落ちてしまいます。
ブラジル戦の終盤にプレスができなくなったのは、単なる体力不足ではなく、体力をどこで使わせるプランだったのかという問題として見るべきだと思います。
また、カタールW杯からもずっと言い続けてきたラインコントロールが、今回のブラジル戦ではほとんど機能していなかったことが大きな原因だと考えています。
中盤のビルドアップと相手陣地内でDMの位置が消えていた
もう一つ気になったのは、DMとWBのビルドアップです。
本来、日本代表がボールを保持するためには、DMがCBの位置に入った時、WBが中央に入り、SBとなったCBがボールを受けて、縦にいるWGへつなぎながら攻撃のリズムを作る必要があります。
筆者ビリーは、これを「ビルドアップ時の低い位置での渦の動き」として見ています。
ビルドアップ時の渦の動き
- DMがCBの位置に入る
- WBが内側に入り、中央の受け手になる
- SB化したCBがボールを受ける
- WGへ縦パスを入れる
- 中央とサイドを循環させながら相手をずらす
途中交代で入った鈴木淳之介と菅原由勢がDMの位置へ入ることができなかったのは、臨時コーチの長谷部誠氏の時代によく見られたポジショニングのミスだったと記憶しています。
その結果、WG(前田や伊東など)が下がらざるを得ず、後ろに人が集まり、前に誰もいなくなる現象がここでも出ました。
相手陣地内でのボール回しもできなかった
その結果、DMの位置に誰もいなくなり、中央でボールをつなぎ直す場所が消えてしまいました。WBが内側に入ってボールを受ける動きがほぼなくなったため、相手陣地内でのボール回しもできなくなりました。
中央に逃げ道がなければ、攻撃は外からの単発的なセンタリングや、苦し紛れの前方へのボールが増えます。そしてボールを失えば、また日本陣地内で守備をしなければなりません。
その結果、守備の時間が増える
この繰り返しによって、日本は感覚的にはかなり長い時間ボールを支配されていたように見えました。ブラジルが強かったというより、日本が自分たちでボールを保持する構造を作れなかったことが大きかったと思います。
称賛よりも必要なのは戦術的な検証である
ブラジル相手に先制したこと、終盤まで粘ったこと、日本代表が世界の強豪に近づいていること。それらを評価することは大切です。
しかし、ベスト8以上を本気で目指すのであれば、「惜しかった」「よく戦った」だけで終わらせるべきではありません。
- ラインコントロール:守備ラインの高さと数的有利の作り方に課題
- ボール保持構造:相手陣地内でボールを動かす仕組みが弱い
- DMの立ち位置:中央でつなぎ直す場所が消えていた
- 体力配分:攻撃に使うべき体力を守備のプレスで消耗した
- 疑似カウンター:日本がやるべき形をブラジルに実践された
この試合で見えたのは、ラインコントロールの甘さ、ボール保持構造の弱さ、DMの立ち位置の違和感、そして攻撃に使うべき体力を守備で削られてしまう戦術プランの問題です。
個人的には、カタールW杯後の森保ジャパンは、チームとして戦術レベルを上げたことで勝ち上がってきた代表だと思っていました。だからこそ、このブラジル戦でカタールW杯前に近い戦い方へ戻ってしまったように見えたことには、大きな疑問が残ります。
また、吉田麻也氏を臨時コーチとして呼んだ頃から見えるラインコントロール面の違和感や、長谷部誠氏の時代にも見られた中盤のポジショニングの問題を考えると、こうした人選が現在の日本代表に本当に必要だったのかも検証されるべきだと思います。
もちろん、外から見ているだけで内部の狙いを断定することはできません。それでも、戦術を進化させて躍進してきたはずの森保ジャパンだからこそ、このブラジル戦には大きな違和感が残りました。
日本代表は確かに強くなっています。しかし、世界の強豪を相手に勝ち切るためには、称賛よりも、こうした戦術的な課題を冷静に検証することが必要だと思います。