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サッカー日本代表がW杯ベスト8の壁を打ち破る為の戦術(タクティクス)をビギナー(初心者)でも分かるように分析します!土曜日の19時更新目標!

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【カタールW杯 試合経過】グループリーグドイツ戦【ボール保持率を変えたWB戦術】

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 日本の緒戦はドイツであり誰もが負けると予想していた。しかしフィジカルでも昔ほどの差は無くなり、ボールコントロールの技術も全員が劣っているわけではない。

またヨーロッパの戦術サッカーに対して日本代表は相性が良い印象があるため、ビリーはラインコントロールを高めに設定して引かなければ勝てると踏んでいた。

W杯カタール大会 日本対ドイツ(プレミアのみ視聴可能)

前半 ドイツは引いた日本を攻めあぐねる

 大人と子供ほどではないが、まだまだ体格差は大きかった。

また試合開始から日本が自らペナルティエリア前までドン引きしたかのような光景に驚いたことは今でも忘れない。自室で一人画面に向かって「え!?引くの!??」と声を出したのは秘密。

日本は全体が下がっているわけでもなく、ラインコントロールは低くただ横一列に並ぶだけである。 

ラインコントロールをするのは恐らく吉田

 日本代表のラインコントロールは2005年にオフサイドのルール変更がなされた直後の方法であり、恐らくラインコントロールを任されていたのはCBの吉田である。

吉田のラインコントロールは相手FWをオフサイドポジションに置かず、自分たちが常に自陣方向からマンツーマンで付き続ける方法。

つまりドイツの一番前にいる選手よりもさらに後ろに陣取るため、オフサイドに引っ掛けることはなく、その結果日本は全体が間延びすることになる。


写真は攻め込まれている状態なので話題とは若干異なる状態だが、この様に常に後ろからラインコントロールをしているため、中盤が薄くなる。

ディフェンスラインが下がりドイツが数的優位に

 ドイツのFWを無力化しないことでドイツの数的優位(有利)をさらに増やすため、中盤がスッカスカの状態をDMとOMの三人で勝負することになり、ボールは支配され続けることになる。

一定の距離を保つことが出来ないため、ボールをキープすることも出来ない状態が続いていた。

両SHも中盤のボール回しに参加する事はなく、「つなぐことよりも単純に縦突破を目指しては取られる」を繰り返すばかりだった。

日本代表の戦術は時代遅れだと分かった前半だった

 W杯の開幕から前半が終わって日本の戦術は数世代前だと選手たちが実感し、実態は2005年のオフサイドのルール変更から世界で取り残されていたのだった。

この二枚の写真からも日本の戦術が古いものだと分かる。

ドイツはセンターバックペナルティーエリアの外に出るぐらい大きく開き、キーパーとCBの三人でボールを回す。

後半 まずはドイツ中盤の数的優位に対抗する

 戦術が時代遅れだと気づいた森保監督だが、後半から久保建英に代わり冨安を投入し仕掛ける。

前田
鎌田  伊東
長友      酒井
田中  遠藤
冨安 吉田 板倉

これは森保監督がサンフレッチェ広島の監督時代に採用していた343のシステムで、3CBと攻撃的なSBと呼ばれるWBに変更したのだ。

W杯開催前の親善試合などでも試していたのだが、日本代表にマッチしているようには見えなかった。

森保監督はWBにするために3CBにしたのだろうか?

 解説には最初からWBと言われていたが、恐らくこの時の森保監督のイメージでは「中盤でドイツの数的優位に対抗するためにDFを4人から3人に、前線の久保を減らして両SBを二列上げて2SHの352のシステムにしたと思われる。

 しかし両SHが長友と酒井だったことから解説の本田圭佑氏にはWBと判断され、さらにラインコントロールが低くドイツに押し込まれた結果、5バックであるWBとして機能したのだろう。

久保建英が交代させられた理由

 パスサッカーを基本とする久保建英にとって日本代表のサッカーはドリブルが折り混ざる割合が多く、また動き直しが少ないためにパスコースが足りない。
そのため久保自身がドリブルをすることが多くなり、フィジカルでの1対1が多くウィークポイントとなっていたことから交代させたのだろう。

戦術が機能しない原因はラインコントロールだった

 W杯の開幕からドイツ戦を見る限り、日本代表の戦術が機能しない原因はラインコントロールだと確信できる試合となってしまった。

後半のラインコントロール

 前半はディフェンスラインが低すぎるために全体が間延びしたのだが、恐らく後半からラインコントロールの中心が吉田から板倉(か冨安)に代わり、ディフェンスラインが前半よりは高めに改善されたと分析する。
※今後ラインコントロールの統率役が吉田から板倉に代わったとして話を進めます。

日本代表の機能しないゾーンプレス

 ラインコントロールは簡単に言うとディフェンスラインを上下させることを言うのだが、全体のディフェンスとしては各ラインの距離感を揃えなければならない。
この距離感を揃えてプレスを掛けるディフェンスをゾーンプレスと言うのだが、恐らく日本代表はラインコントロールをしないままゾーンプレスを行おうとしているようだ。
これを『根性プレス』と名付けようと思う。

試合の結果

 ドイツは「日本がジリ貧で終わり大胆な戦術的変更をしない」と踏んでいたのだろうか。
日本の「SBからWBへの変更」と「押し込まれた状態で行う曖昧なラインコントロール」に面を食らったドイツは多少なり混乱し、その中で日本にカウンターを食らうこととなった。
日本は綱渡りのディフェンスで乗り越えた試合だった…

※試合の詳細な分析は以下から。

日本はこの攻撃的な守備強化のシステム変更で逆転勝利を呼び込んだのだが、ドイツ戦では功を奏したWBのシステムが後の試合で誤算が出る。