
北中米ワールドカップでフランス代表を率いる監督が、ディディエ・デシャン監督です。
デシャン監督といえば、フランス代表を2018年ワールドカップ優勝へ導き、2022年ワールドカップでも決勝まで進めた名将です。
さらに現役時代には、フランス代表のキャプテンとして1998年ワールドカップ優勝、EURO2000優勝を経験しています。
つまりデシャン監督は、選手としても監督としてもワールドカップを制した、サッカー史に残る人物です。
しかし、不思議なことに、デシャン監督は常に称賛だけを受けてきた監督ではありません。
フランス代表を勝たせ続けているにもかかわらず、「退屈」「守備的すぎる」「タレントを活かし切れていない」と批判されることも多い監督です。
結論 デシャン監督の最大の特徴は、理想のサッカーを見せることではなく、どんな大会でも勝ち残るためにチームを現実的に整えることです。
美しいサッカーを最優先する監督ではありません。しかし、勝つために必要な守備、バランス、メンタル、選手起用を徹底できる監督です。
この記事では、デシャン監督の経歴、現役時代、性格、戦術の特徴、批判される理由、北中米ワールドカップでの変化、そして海外メディアでの評価を整理します。
- デシャン監督とは?フランス代表を率いる勝負師
- 現役時代のポジションは守備的ミッドフィルダー
- 監督としての経歴|モナコ、ユベントス、マルセイユ、フランス代表
- デシャン監督の性格|冷静で現実的なリーダー
- デシャン監督が好む戦術|堅守速攻と現実主義
- フランス代表でのデシャン監督|スター軍団をどうまとめるか
- なぜデシャン監督は批判されるのか
- 海外メディアはデシャン監督をどう見ているのか
- 北中米ワールドカップでのデシャン監督|最後の大会になるのか
- デシャン監督のフランスはなぜ強いのか
- デシャン監督と他の名将の違い
- 日本代表目線で見たデシャン監督
- デシャン監督から学べるチーム作り
- デシャン監督の弱点や不安材料はあるのか
- まとめ|デシャン監督はフランスに何をもたらしたのか
デシャン監督とは?フランス代表を率いる勝負師
ディディエ・デシャン監督は、1968年生まれのフランス人指導者です。
現役時代は守備的ミッドフィルダーとしてプレーし、ナント、マルセイユ、ユベントス、チェルシー、バレンシアなどで活躍しました。
フランス代表ではキャプテンとして、1998年ワールドカップとEURO2000の優勝を経験しています。
監督としても、モナコ、ユベントス、マルセイユを経て、2012年からフランス代表を率いています。
デシャン監督を一言で表すなら、勝ち方を知っている監督です。
派手な戦術家というより、チームを大会で勝たせるために必要な要素を見極める監督です。
デシャン監督は、理想の形を追い求める監督ではなく、勝つために必要な形を選ぶ監督です。
そのため、内容より結果を重視しているように見えることもあります。しかし、国際大会ではその現実感こそが大きな武器になります。
現役時代のポジションは守備的ミッドフィルダー
デシャン監督の現役時代のポジションは、守備的ミッドフィルダーです。
得点を量産する選手ではなく、チームのバランスを取り、相手の攻撃を止め、奪ったボールを味方につなぐ選手でした。
派手なプレーで観客を沸かせるタイプではありません。
しかし、チームにとって必要な場所に立ち、必要なプレーを選び、スター選手を支える役割を果たしていました。
この現役時代の役割は、監督としてのデシャンを見るうえでも非常に重要です。
デシャン監督は、攻撃の美しさだけでチームを判断しません。
誰がバランスを取るのか。誰がスペースを埋めるのか。誰が相手のカウンターを止めるのか。誰がスター選手を支えるのか。
このような「目立たない役割」を重視する点は、守備的ミッドフィルダー出身監督らしい特徴です。
「水を運ぶ人」と呼ばれた現役時代
デシャン監督は、現役時代に「水を運ぶ人」と呼ばれたことがあります。
これは、派手な創造性を持つ選手ではなく、ボールを奪い、味方につなぎ、チームのために働く選手という意味合いで使われた言葉です。
少し皮肉を含む表現でもありますが、デシャン監督の本質をよく表しています。
スター選手が輝くためには、誰かが水を運ばなければならない。
攻撃の才能を活かすためには、誰かが守備のバランスを取らなければならない。
この考え方は、フランス代表監督になってからも変わっていません。
本質 デシャン監督は、スター選手を並べるだけではなく、そのスターを勝利へつなげるための「支える構造」を重視する監督です。
監督としての経歴|モナコ、ユベントス、マルセイユ、フランス代表
デシャン監督は、現役引退後すぐに指導者としてのキャリアを歩み始めました。
最初に大きな注目を集めたのが、モナコ時代です。
モナコでは、UEFAチャンピオンズリーグ決勝進出を果たし、若い指導者として高い評価を受けました。
その後、ユベントス、マルセイユを率ち、クラブチームでも結果を残しています。
そして2012年から、フランス代表監督に就任しました。
- 現役時代は守備的ミッドフィルダーとしてプレー
- フランス代表のキャプテンとして1998年ワールドカップ優勝
- EURO2000でもフランス代表として優勝
- モナコでチャンピオンズリーグ決勝進出
- ユベントス、マルセイユを指揮
- 2012年からフランス代表監督に就任
- 2018年ワールドカップ優勝
- 2021年UEFAネーションズリーグ優勝
- 2022年ワールドカップ準優勝
- 北中米ワールドカップ後に退任予定
2018年ワールドカップ優勝|デシャン流の完成形
デシャン監督の代表監督としての最大の成功は、2018年ワールドカップ優勝です。
この大会のフランス代表は、非常にバランスの取れたチームでした。
ムバッペ、グリーズマン、ポグバ、カンテ、ヴァラン、ユムティティ、ロリスなど、攻守に優れた選手がそろっていました。
しかし、単にタレントを並べただけではありません。
守備を固め、カウンターを狙い、試合展開に応じてリスクを管理する。
相手にボールを持たせることを恐れず、必要な時に一気に前へ出る。
この現実的な戦い方が、フランスを世界一へ導きました。
2022年ワールドカップ準優勝|勝ち残る力の証明
2022年ワールドカップでも、デシャン監督のフランス代表は決勝まで進みました。
大会前から負傷者が多く、万全の状態ではありませんでした。
それでもフランスは勝ち進み、決勝ではアルゼンチンと歴史に残る激闘を演じました。
この大会で改めて見えたのは、デシャン監督のチームが「完璧な状態でなくても勝ち残れる」ということです。
選手が欠けても、形を変え、役割を変え、試合の流れを読みながら勝ち筋を探す。
これが、デシャン監督の強さです。
デシャン監督の性格|冷静で現実的なリーダー
デシャン監督の性格を一言で表すなら、冷静で現実的です。
感情を大きく表に出してチームを煽るタイプではありません。
理想論を語り続ける監督でもありません。
自分のチームに何ができるのか、相手が何を狙っているのか、大会で勝ち残るには何が必要なのかを冷静に見極めます。
この冷静さは、国際大会では非常に重要です。
ワールドカップでは、1試合で状況が大きく変わります。
先制される、退場者が出る、主力が怪我をする、相手が想定外の戦い方をしてくる。
その中で慌てず、チームを落ち着かせ、必要な修正を行う力が監督には求められます。
デシャン監督は、観客を楽しませるためにリスクを取り続ける監督ではありません。
チームが勝つために必要なら、守ることも選びます。相手にボールを持たせることも受け入れます。
その現実的な判断が、称賛と批判の両方を生んでいます。
選手から信頼される理由
デシャン監督は、長くフランス代表を率ち続けています。
代表監督は、クラブ監督よりも選手と過ごす時間が短い仕事です。
その中でチームをまとめるには、戦術だけでなく、選手との信頼関係が必要になります。
デシャン監督は、選手に明確な役割を与えます。
誰が攻撃で自由を得るのか。
誰が守備でバランスを取るのか。
誰が途中出場で流れを変えるのか。
選手は、自分の役割が分かるとチームのために動きやすくなります。
この役割の明確さが、デシャン監督のチームを安定させています。
デシャン監督が好む戦術|堅守速攻と現実主義
デシャン監督の戦術を語るうえで、最も重要なのは、現実主義です。
ボールを持つこと自体を目的にする監督ではありません。
相手を圧倒的に押し込むことだけを目指す監督でもありません。
大切にしているのは、勝つ確率を上げることです。
- 守備の安定を重視する
- 前線の個の力を活かす
- 中盤のバランスを崩さない
- 相手にボールを持たせることを恐れない
- カウンターで一気に仕留める
- 大会では内容より勝ち残ることを優先する
- 選手の特徴に合わせてシステムを変える
堅守速攻だけではない
デシャン監督のフランス代表は、堅守速攻のイメージが強いかもしれません。
たしかに、2018年ワールドカップでは、守備を固めてムバッペのスピードを活かす戦い方が非常に効果的でした。
しかし、デシャン監督を「守備的な監督」とだけ見ると、少し単純化しすぎです。
デシャン監督は、守備的なサッカーをやりたいのではありません。
勝つために守備が必要なら守る。
攻撃の才能が最大の武器なら、攻撃を前面に出す。
この切り替えができる監督です。
北中米ワールドカップでは攻撃的な変化も見せている
北中米ワールドカップでのフランス代表は、以前よりも攻撃的な色を強めています。
ムバッペ、デンベレ、オリーセ、バルコラ、ドゥエ、シェルキなど、攻撃的なタレントが豊富にそろっています。
そのため、デシャン監督は以前のように守備の安定だけを最優先するのではなく、攻撃陣の破壊力を前面に出す方向へ変化しています。
特に、4人のアタッカーを起用する形は、従来のデシャン像とは少し違います。
ただし、これはデシャン監督が別人になったという意味ではありません。
チームの最大の武器が守備なら守備を使う。
最大の武器が攻撃なら攻撃を使う。
つまり、デシャン監督の本質は変わっていません。
戦術の変化 北中米ワールドカップのデシャン監督は、守備的な名将というより、攻撃陣の質を最大限に使う現実主義者として見ると分かりやすいです。
フランス代表でのデシャン監督|スター軍団をどうまとめるか
フランス代表には、世界最高クラスの選手がそろっています。
ムバッペ、デンベレ、オリーセ、グリーズマン、ラビオ、チュアメニ、カマヴィンガ、サリバ、ウパメカノ、クンデ、メニャン。
名前だけを見れば、どの監督でも勝てそうに思えるかもしれません。
しかし、スター選手が多いチームほど、実は難しさがあります。
全員を自由にすれば、チームのバランスは崩れます。
全員に守備を求めすぎれば、攻撃の才能が消えます。
誰を中心にするのか。
誰に守備の負担を背負わせるのか。
誰を先発にして、誰を途中から使うのか。
この整理ができなければ、スター軍団は簡単にバラバラになります。
デシャン監督の仕事は、フランスのタレントを単純に並べることではありません。
誰を自由にし、誰にバランスを取らせ、誰を途中投入で使うかを整理することです。
この「役割の整理」こそ、デシャン監督の強みです。
ムバッペをどう活かすか
フランス代表を語るうえで、キリアン・ムバッペの存在は外せません。
ムバッペは、スピード、得点力、個人で試合を決める力を持つ選手です。
相手が少しでもスペースを与えれば、一気にゴール前まで運ぶことができます。
デシャン監督は、このムバッペの能力を最大限に活かすために、チーム全体を設計します。
ムバッペを左で使うのか、中央で使うのか。
周囲に誰を置くのか。
相手が低い位置で守った時に、どうやってムバッペに前を向かせるのか。
この問題は、フランス代表の攻撃を考えるうえで非常に重要です。
デンベレ、オリーセ、バルコラが加える新しい攻撃性
近年のフランス代表で面白いのは、ムバッペだけに頼らない攻撃が増えていることです。
デンベレは、左右両足で仕掛けられるドリブラーです。
オリーセは、右サイドから内側へ入り、パスとシュートで違いを作れる選手です。
バルコラは、左サイドの突破や裏への動きで相手守備を広げることができます。
これらの選手が機能すると、フランスはムバッペだけを止めればいいチームではなくなります。
デシャン監督が攻撃的な形に変化している背景には、この攻撃陣の充実があります。
なぜデシャン監督は批判されるのか
デシャン監督は、結果だけを見れば非常に優れた監督です。
2018年ワールドカップ優勝、2022年ワールドカップ準優勝、EURO2016準優勝、ネーションズリーグ優勝。
これだけの実績があるにもかかわらず、批判されることがあります。
その理由は、デシャン監督のサッカーが、必ずしも観客の期待する「美しいフランス代表」ではないからです。
- 守備的に見える試合がある
- タレントの割に攻撃が物足りないと言われる
- 内容より結果を優先しているように見える
- 選手起用が保守的だと批判される
- 長期政権によるマンネリ感がある
- フランスの攻撃的な才能を活かし切れていないと言われる
「勝つけど面白くない」という評価
デシャン監督への批判で最も分かりやすいのが、「勝つけど面白くない」という評価です。
フランスには、攻撃的なタレントが多くいます。
だからこそ、ファンやメディアは、もっと華やかで圧倒的なサッカーを期待します。
しかし、デシャン監督は常にリスクを取り続けるわけではありません。
必要なら、ボールを持たせて守ります。
必要なら、1点差を守り切ります。
必要なら、攻撃的な選手を減らして中盤を厚くします。
この現実的な判断が、結果を生む一方で、批判も生むのです。
フランス国内メディアの見方
フランス国内メディアでは、デシャン監督への評価は複雑です。
実績は認められています。
しかし、長期政権への疲れや、攻撃面への不満もあります。
特にEURO2024では、フランス代表の攻撃が停滞し、内容面で多くの批判を受けました。
そのため、北中米ワールドカップで攻撃的な変化を見せていることは、フランス国内でも大きな注目点になっています。
フランス国内では、デシャン監督の実績を否定する人は少ないでしょう。
しかし、タレントの豊富さを考えると、もっと攻撃的で魅力的なサッカーを見たいという声もあります。
つまり、デシャン監督は「勝つ監督」として認められながら、「もっとできるはず」と言われ続けている監督です。
海外メディアはデシャン監督をどう見ているのか
デシャン監督を理解するうえで面白いのが、海外メディアでの見られ方です。
フランス国内では、長く見ているからこそ批判も強くなります。
一方で、国外から見ると、デシャン監督は「大会で結果を出し続ける監督」として非常に高く評価されています。
- フランス国内:実績は認めるが、内容面への不満も強い
- 欧州メディア:大会で勝ち残る現実主義者
- イギリス系メディア:スター軍団をまとめる勝負師
- 戦術系メディア:革新的ではないが、選手起用と大会運びがうまい監督
- 対戦国目線:弱点が少なく、試合巧者のフランスを作る監督
欧州メディアは「トーナメントの勝ち方を知る監督」と見る
欧州メディアでは、デシャン監督はトーナメントで結果を出す監督として見られています。
クラブチームのように毎日練習できない代表チームでは、戦術の細かさだけでなく、短期間でチームをまとめる力が重要です。
デシャン監督は、その点で非常に優れています。
誰を中心にするのか。
誰を守備で使うのか。
相手にボールを持たせていい時間帯はどこか。
リードした後にどう試合を閉じるのか。
こうした大会運びのうまさが、欧州メディアで評価されるポイントです。
戦術系メディアは「革新性より最適化」と見る
戦術系メディアから見ると、デシャン監督はグアルディオラ監督やトゥヘル監督のような革新的な戦術家とは少し違います。
新しい戦術理論を生み出す監督ではありません。
しかし、手元にある選手を使って、大会で勝てる形に最適化する力があります。
これは代表監督として非常に重要です。
代表チームでは、クラブのように足りないポジションを簡単に補強できません。
今いる選手で、どう勝つかを考える必要があります。
デシャン監督は、この「今いる選手で勝つ」ことに長けた監督です。
対戦国から見ると「弱点が少ない監督」
対戦国から見たデシャン監督のフランスは、非常に厄介です。
攻撃にはムバッペ、デンベレ、オリーセのような個の力があります。
守備にはサリバ、ウパメカノ、クンデ、メニャンのような強度があります。
中盤にはラビオ、チュアメニ、カマヴィンガのようなバランス役がいます。
しかも、デシャン監督は試合を壊すようなリスクを簡単には取りません。
そのため、相手から見ると、フランスは非常に倒しにくいチームになります。
北中米ワールドカップでのデシャン監督|最後の大会になるのか
北中米ワールドカップは、デシャン監督にとってフランス代表での最後の大会になる予定です。
2012年から長くフランス代表を率いてきたデシャン監督にとって、この大会は集大成と言えます。
2016年EURO準優勝、2018年ワールドカップ優勝、2021年ネーションズリーグ優勝、2022年ワールドカップ準優勝。
この流れの最後に、もう一度ワールドカップを狙う。
それが北中米ワールドカップでのデシャン監督です。
ラストダンス 北中米ワールドカップのデシャン監督は、長期政権の集大成として、守備的現実主義から攻撃的現実主義へ進化した姿を見せています。
グループステージでは攻撃力が爆発
北中米ワールドカップのフランス代表は、グループステージで強烈な攻撃力を見せました。
ムバッペ、デンベレ、オリーセを中心に、複数の選手が得点やアシストに関与しています。
これまでのデシャン監督には、「守備的」「慎重」というイメージがありました。
しかし、この大会のフランスは、攻撃陣の質を前面に出すチームになっています。
ただし、攻撃的になった分、相手にチャンスを与える場面もあります。
このバランスを、決勝トーナメントでどう調整するかが重要になります。
守備的に戻すのか、攻撃的に突き進むのか
デシャン監督の面白いところは、必要なら途中で現実的に変えられることです。
グループステージでは攻撃的に戦っても、相手が強くなれば中盤を厚くする可能性があります。
リードしたら守備を固めるかもしれません。
相手にスピードがあれば、サイドの守備を重視するかもしれません。
つまり、デシャン監督のフランスは、攻撃的なチームに変化しても、完全にリスクを無視するチームにはならないはずです。
そこが、デシャン監督らしさです。
デシャン監督のフランスはなぜ強いのか
デシャン監督のフランスが強い理由は、単純に選手が豪華だからではありません。
もちろん、フランス代表の選手層は世界最高クラスです。
しかし、選手層が厚いだけなら、他の国にも強豪はあります。
デシャン監督の強みは、その選手層を大会で勝てる形に整理できることです。
- 守備の安定を捨てない
- 前線の個の力を最大限に活かす
- 大会での試合運びがうまい
- 選手に役割を与えるのがうまい
- リードした後に試合を壊しにくい
- 勝つためなら戦い方を変えられる
- スター選手をチームの中に収められる
スターを自由にしすぎない
フランス代表のようにスターが多いチームでは、自由と規律のバランスが重要です。
ムバッペに自由を与えれば、試合を決める力があります。
しかし、全員が自由に動けば、守備のバランスは崩れます。
デンベレやオリーセに仕掛けさせるなら、後方では誰かがリスク管理をしなければなりません。
デシャン監督は、この自由と規律の線引きを重視します。
目立たない選手を重視する
デシャン監督は、目立つ選手だけでチームを作りません。
守備で走れる選手、バランスを取れる選手、相手の良さを消せる選手、試合を落ち着かせられる選手を重視します。
これは現役時代のデシャン自身とも重なります。
チームが勝つためには、スターだけでなく「水を運ぶ人」が必要です。
この考え方が、デシャン監督のフランス代表には強く反映されています。
デシャン監督と他の名将の違い
デシャン監督を理解するには、他の名将と比べると分かりやすいです。
グアルディオラ監督は、構造で試合を支配する監督です。
クロップ監督は、強度と感情でチームを動かす監督です。
アンチェロッティ監督は、選手の個性を活かしながら勝てる形に整える監督です。
トゥヘル監督は、相手に合わせて細部まで調整する監督です。
デシャン監督は、その中でも特に、代表チームを大会で勝ち残らせる力に優れています。
- グアルディオラ監督:構造で支配する監督
- クロップ監督:強度と感情で押し切る監督
- アンチェロッティ監督:選手を活かして勝てる形に整える監督
- トゥヘル監督:相手に合わせて細部まで変える監督
- デシャン監督:大会で勝ち残るために現実的に整える監督
デシャン監督は、戦術理論の新しさで語られる監督ではありません。
しかし、ワールドカップのような大会では、理論の美しさだけでは勝てません。
コンディション、メンタル、選手起用、相手との相性、試合中の流れ、リードした後の振る舞い。
こうした複雑な要素をまとめて、最終的に勝ち残る。
そこにデシャン監督の価値があります。
日本代表目線で見たデシャン監督
日本代表目線で見ると、デシャン監督のフランス代表は非常に厄介です。
なぜなら、フランスは個の力が強いだけでなく、無理に攻めてこない冷静さも持っているからです。
日本が前からプレスをかければ、フランスはムバッペやデンベレのスピードを使って背後を狙えます。
日本が引いて守れば、オリーセやグリーズマンのような選手が間で受け、コンビネーションで崩してきます。
さらに、フランスはフィジカル、スピード、高さ、個人守備でも優位を持っています。
- ムバッペに背後を取らせない
- デンベレに孤立した1対1を与えない
- オリーセに内側で前を向かせない
- 中盤でラビオやチュアメニに回収されない
- フランスのセットプレーを警戒する
- リードされた後に無理に前がかりになりすぎない
デシャン監督のフランスと戦う場合、最も危険なのは焦ることです。
フランスは、相手が焦って前に出た瞬間を逃しません。
ボールを奪った瞬間に、ムバッペやデンベレが一気に走り出します。
だからこそ、日本代表がフランスと戦うなら、攻撃後の守備移行、逆サイドの管理、中盤でのロスト回避が重要になります。
デシャン監督から学べるチーム作り
デシャン監督の記事は、単なるフランス代表紹介として読むだけではもったいないです。
チーム作りの視点から見ても、学べる部分が多い監督です。
特に重要なのは、チームにはスターだけでなく、役割を果たす選手が必要だということです。
- チームには目立たない役割が必要
- スター選手を活かすには守備の土台が必要
- 大会では理想より現実的な判断が重要
- 勝つためには役割を明確にする必要がある
- 攻撃的なチームでもバランスを失ってはいけない
- 批判されても結果を出す覚悟が必要
これは、プロの代表チームだけの話ではありません。
部活、少年サッカー、社会人チーム、草サッカーでも同じです。
うまい選手をただ並べるだけでは、チームは強くなりません。
誰が守るのか。
誰が走るのか。
誰がバランスを取るのか。
誰が勝負を決めるのか。
この役割分担ができて、初めてチームは機能します。
デシャン監督の弱点や不安材料はあるのか
デシャン監督にも不安材料はあります。
最大の不安は、長期政権によるマンネリです。
2012年から長くフランス代表を率っているため、チームの空気が固定化しやすい面があります。
また、慎重な戦い方が裏目に出ると、攻撃のリズムが悪くなることもあります。
- 長期政権によるマンネリ
- 攻撃的な才能を活かし切れない時がある
- 慎重になりすぎると試合が重くなる
- スター選手の起用法で批判が出やすい
- 守備と攻撃のバランスを誤ると一気に崩れる可能性がある
攻撃的変化はリスクもある
北中米ワールドカップでのフランスは、攻撃的な色を強めています。
これは魅力的ですが、同時にリスクもあります。
攻撃的な選手を増やせば、得点力は上がります。
しかし、中盤の守備やボール回収、サイドの守備には負担がかかります。
相手が強くなる決勝トーナメントでは、このバランスがより重要になります。
デシャン監督が攻撃的な形をどこまで維持するのか。
それとも、強豪相手には再び中盤を厚くするのか。
ここが、北中米ワールドカップでの大きな注目点です。
まとめ|デシャン監督はフランスに何をもたらしたのか
デシャン監督は、フランス代表に勝者のメンタリティをもたらした監督です。
現役時代は守備的ミッドフィルダーとしてチームを支え、フランス代表のキャプテンとして1998年ワールドカップを制しました。
監督としても、2018年ワールドカップ優勝、2022年ワールドカップ準優勝、2021年ネーションズリーグ優勝という結果を残しています。
その一方で、デシャン監督は常に批判も受けてきました。
守備的すぎる、退屈、タレントを活かし切れていない、長くやりすぎている。
しかし、それでも結果を出し続けてきたのがデシャン監督です。
北中米ワールドカップでは、ムバッペ、デンベレ、オリーセを中心とした攻撃的なフランスを見せています。
これは、デシャン監督が守備的な監督から攻撃的な監督に変わったというより、チームの最大の武器に合わせて現実的に変化したと見るべきでしょう。
- デシャン監督はフランス出身の名将
- 現役時代のポジションは守備的ミッドフィルダー
- フランス代表のキャプテンとして1998年W杯とEURO2000を制した
- 監督として2018年W杯優勝、2022年W杯準優勝を達成
- 戦術は理想主義ではなく現実主義
- 守備の安定と前線の個の力を組み合わせるのが得意
- フランス国内では実績を認められながらも批判も多い
- 北中米W杯では攻撃的な変化を見せている
- デシャン監督の本質は、勝つためにチームを整えること
デシャン監督のフランス代表を見る時は、ムバッペやデンベレの個人技だけでなく、誰がバランスを取り、誰が守備を支え、どのタイミングでリスクを取っているのかを見ると、試合の見え方が変わります。
美しいサッカーを見せる監督ではなく、勝つために必要なサッカーを選ぶ監督。
それが、ディディエ・デシャン監督なのです。