決勝トーナメントへの進出が決まっている日本はスタメンを6人入れ替えてターンオーバーを実施。一方でイスラエルは48年ぶりのオリンピック出場。
【パリ五輪 サッカー男子】U-23日本代表の戦術を徹底分析
選手6人を入れ替え主力の休憩を作り、個人的にはノックアウトステージでスペイン戦を避けるために2位通過を目指すのかと思ったが、出ている選手は全力を尽くし負ける気が無いようだった。
日本代表のスタメン
4-3-3
藤尾
佐藤 山田
荒木 川崎
山本
内野 木村 鈴木 西尾
小久保
4-2-3-1(流れで併用)
藤尾
佐藤 荒木 山田
山本 川崎
内野 木村 鈴木 西尾
小久保
攻撃戦術
- 【ディフェンシブサード】
GKの両サイドでCBが大きく開き、展開するシステム。 - 【ミドルサード】
中央でDMの三人が上手くポジショニングをすることが出来ず、サイド攻撃ばかりになってしまった。中央でボールを回すことができればサイドチェンジをした時に効果的なセンタリングができたと思われる。 - 【アタッキングサード】
ポジションチェンジは出来たのだが、左サイドだけ、右サイドだけ、のポジションチェンジでしか無かった。左右に中央も加えてポジションチェンジを行い、相手の守備陣形を乱せれば得点が近づいていただろう。
守備戦術 4-4-2
- 4-4-2の改良型カテナチオではあるが、ラインコントロールが低いために中盤で偏っているようにしか見えない。
- イスラエルの中盤が間を取るポジショニングが出来ないためにゾーンプレスをしなくても済んでいると言った印象。
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イスラエルのスタメン 3-4-3のWBシステム
攻撃戦術
- 【ディフェンシブサード】
ディフェンスラインでボールを展開しようとするが、両SBが高く上がりすぎ、またDMがボールを引き出しに行かないためになかなか繋がらない。
※日本は斜め線二本のラインで中央を切り、ディフェンスライン裏へのロングパスを出させないのだが、FWとDFの数が同数になっているために不安であった。 - 【ミドルサード】
日本代表が逆サイドを捨てて数的有利を作りゾーンプレスを掛けるため、ミドルサード(中盤)ではほぼビルドアップをさせなかった。 - 【アタッキングサード】
カウンター以外ではアタッキングサードまでボールを運べることがほぼ無く、日本代表相手に脅威となることが出来なかった。
守備戦術
- ラインコントロールは細かく上下をするのではなく、CBが少し高めに固定するイメージ。
- 4-4-2を固定するのではなく、中心ラインを固定し、中盤ではマンツーマンになる人がいる。
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試合展開
- 白線…日本代表のディフェンスライン
- 青線三角形…イスラエルのディフェンス
- 紫矢印…日本代表選手がいるべきポジション
- 黄色矢印…ボールの展開予測
日本の白線で結んだディフェンスラインの初期位置は正しい。
しかし日本には正確なポジショニングという文化がないため、DMに入った二人がビルドアップ(もしくは広く展開)するためのポジショニングができない。
青い三角形の間にポジショニングを取り、パスが出た瞬間に黄色線のパスコースができる。
各世代に限らず、日本代表はこのポジショニングができないのだ。
ワイドプレイは特にポジショニングが重要
ワイドプレイでは相手にゾーンプレスを掛けさせないために選手間の距離を広げる戦術なのだが、ポジショニングがズレるとパスの選択肢が減るためにリスクが高くなり、難しいパスを通すためには精度が要求されるため、ボールをロストしやすくなる欠点もある。
そのため、全員が適切なポジショニングを行う必要があるのだ。
ポジショニングが悪いため中央が使えない
攻撃時に荒木、川崎、山本が入れ替わりながらマークを外しつつ、イスラエルの間でボールを触り展開させなければならないのだが、どうしてもサイドや裏で貰おうとしてしまうために中央で展開が出来ない。
もちろん中央ではゾーンプレスを掛けられるのだが、サイドでゾーンプレスをさせないためにも本来は中央を経由させたいところだった。
4-3-3からのシステム変更で押し込む!?
U-23日本代表は不完全ながらもワイドプレイと個人技、フィジカルによって成り立つチームである。
珍しくシステム変更が少ないチームだったのだが押し込めた際は、以下のようなシステム変更をしていたらもっと明確な攻めが出来たのかもしれない。
藤尾
佐藤 山田
荒木 川崎
山本
内野 木村 鈴木 西尾
小久保
4-3-3から荒木が中央へ上がり、4-2-3-1へ。
藤尾
佐藤 荒木 山田
山本 川崎
内野 木村 鈴木 西尾
小久保
ビルドアップの際、中央でパスが1、2本でも回せれば4-2-3-1から4-4-2の陣形に変形し、押し込めたかもしれない。
荒木 藤尾
佐藤 山田
山本 川崎
内野 木村 鈴木 西尾
小久保
上図は、荒木と藤尾がPA内、両SHの佐藤と山田がPAの角辺りにいるイメージである。
このスタメンは決してU-23日本代表の2軍ではなく、チームとしてまとまりを見せていた。ただポジショニングのズレが大きく、このメンバーでの戦術に成熟度が足りなかっただけだろう。
明らかにチームの中心として機能していた荒木や川崎も、このメンバーとの時間的なやり取りが増えていれば活躍したに違いない。