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11/22 グループC アルゼンチンvsサウジアラビア

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世界ランキングは3位。
 アルゼンチンと言えば世界ナンバーワンプレーヤとして名高いメッシ。
南米のアルゼンチンは組織的なサッカーが優先される現在でも個人技の印象が強く、世界ランキングは高いがそんな印象が薄い。
つまりメッシの存在だけで世界ランキングが3位になっているのではないかと言うのがビリーの結論。

アルゼンチンはワールドカップが始まるまで36戦無敗を誇っている。

サウジアラビアは世界ランキング51位。
 アジアの予選ではまるでヨーロッパのようなポゼッションサッカーを繰り広げ、優利に試合展開を繰り広げていた。

今回アルゼンチンという格上相手にどこまで自分たちのサッカーができるだろうか。
また大番狂わせをするのであれば、どの様な戦術を採用するのだろうか。

前半 ゲームメイク役ではないメッシ

まず序盤で違和感があった。
 スタメン予想図にもあるように、誰もが「メッシはトップ下に配置される」と思っていたが、センターFWとして配置されていた。

サウジアラビアの超攻撃的な守備戦術

 しかしそれ以上に、サウジアラビアのディフェンスラインが異様に高いことに驚かされた。
アルゼンチンはメッシだけが強烈なFWではなく、何人も世界的なFWが居る。
そこでサウジアラビアは格上相手に勝つために、改良型カテナチオ(カテナチオとゾーンプレスの組み合わせ)にオフサイドトラップを組み合わせ、イチかバチかの賭けに出たのだろう。

試合展開は一方的だがVARがFWを止める

先取点はディフェンスラインを突破されたのではなく、ペナルティエリア内でのファールだった。

アルゼンチンの先制後2点目も決めたように思われたが、VARがしっかりと機能し、オフサイドラインから腕だけが出ていた判定。

本来の実力差は歴然のはず

アルゼンチンとサウジアラビアの実力差であれば5点取られてもおかしくないほどだが、改良型カテナチオに加え、オフサイドトラップとVARの機械判定が見事に合致している。

確かにサウジアラビアがアルゼンチンに番狂わせを起こすためには、これだけのリスクを負う必要があるだろう。

アルゼンチンは想像以上に健闘をするサウジアラビアに驚きを隠せなかったに違いない。
アルゼンチンからすれば、恐らくサウジアラビアのボールのポゼッションは体感で想像の2倍以上だっただろう。

前半サウジアラビアのシュートはほぼ無し

サウジアラビアは中央付近でプレスを掛け続け、シュートは打てないものの1失点で耐え続けてきた。
攻める手段もなく、ボールの保持すらままならない状態だった。

ボールをつなげることができないためにカウンターすら狙うまでに至らないのだ。

後半 サウジアラビアはどこまで食い下がる!?

 後半が始まってもサウジアラビアのディフェンスラインは下がらない。
押し込まれても下がらないどころかフィールド中央でなんとか潰しあい、カウンター攻撃を虎視眈々と狙い続けていた。
その結果後半3分ぐらいに中央からスルーパスを受けながら抜け、見事にゴールを決めてみせた。

サウジアラビアのディフェンスは、サイドよりも中央でアルゼンチンをゴチャつかせるカテナチオのディフェンス。
メッシが居るため人数を掛けられる中央のエリアで潰すことを選択。

そこにVARを信用したオフサイドトラップを組み合わせることで中央からショートカウンターを狙っている。
そこで高い位置からボールを奪い、見事立て続けに逆転となる2点目を決めてみせた。

FWではなくMFとしての『戦術メッシ』

 サウジアラビアが2点目を決めてから、ようやくアルゼンチンの目が覚めたのだろうか、それとも無理をしているのだろうか。
ようやくサウジアラビアのペナルティエリア付近に押し込むことができるようになる。
それもメッシがFWとしてではなく、MFとして下がり目の位置からゲームメイクをしだしてから。

メッシは過密日程で走れなくなる

メッシは2008年頃だっただろうか。
あまりの過密日程かつ走行距離の過多により、一時期具合を悪くしていた事があった。

現在はその影響なのか、一試合で一人の選手の平均走行距離が10~12kmと言われる中、7km前後だそうだ。
もしかしたら前半は走行距離を減らすためにセンターFWにしたのかもしれない。

アルゼンチンの猛攻を耐え続けるサウジアラビア

 サウジアラビアはメッシがMFになると途端に押し込まれるようになる。
アルゼンチンはメッシを得点源としてトップに配置したのだが、アルゼンチンの改良型カテナチオにオフサイドトラップを加えたディフェンスの前に、FWのメッシは完全に封じ込まれてしまったのだ。

このディフェンスはメッシ潰しと言っても過言ではないのかもしれない。

突如として変わるゲーム模様

 そこでメッシは自ら中盤に下がり、ゲームメイク役になった。
その途端、前半までは見られなかった長いスルーパスが通るようになり、アルゼンチンがシュートまでつながるようになった。

しかしメッシの走る距離は長くなり、負担は増えることになっただろう。

アルゼンチンの「メッシの年齢や走行距離、今後の過密日程と体力」を考えたちぐはぐ感を見ると、ワールドカップの緒戦がいかに難しいかを思い出したような気がする。

アルゼンチンの中心は間違いなくメッシではあるのだが、実際は想像以上に体調が落ちているのかもしれない。

見事に大番狂わせを達成する

 サウジアラビアはどこまで食い下がるか想像していたが、まさか2-1のまま勝利。
ものすごい戦術と賭けにより大番狂わせを演じたのだった。

もしかしたらこの試合はカタール大会のベストゲームになるかもしれない。

改良型カテナチオとオフサイドトラップ

 実はこの改良型カテナチオとオフサイドトラップは、ビリーが思い描いていた守備戦術だった。

思い付いていたのは2002年の日韓ワールドカップ前なのだが、2005年のルール変更で暗礁に乗り上げた。さらにこの試合同様、VARがなければなし得ない戦術でもある。

サウジアラビア最大のディフェンスはVARだったと言っても過言ではないだろう。